上記のうち、(1)データおよびサービスの分類に関連して、本戦略では以下のようなポリシーを掲げている。
上記の通り、地方保健局や公立医療施設が取り扱う保健医療データは、「重要(Critical)」区分に該当する。
次に表1は、イタリアのクラウド戦略におけるクラウドサービスの分類を示している。
そして図2は、イタリアのクラウド戦略におけるデータ分類と認証クラウドの関係を示している。
例えば、前述の保健医療データは、「重要(Critical)」区分に該当し、「暗号化されたパブリッククラウド」、「ライセンス供与されたプライベート/ハイブリッドクラウド」、「認定されたプライベートクラウド」のいずれかの認証を受けたサービスを利用することができるが、「認定外のパブリッククラウド」や「認定されたパブリッククラウド」は利用できない。従って、イタリアの地方保健局や公立医療施設向けにクラウド型eヘルス関連サービスを提供する企業は、最低限、「暗号化されたパブリッククラウド」の認証を取得する必要がある。その場合、暗号鍵の管理をイタリア国内で行う必要がある。
参考までに、図3は、イタリアのクラウド戦略におけるクラウドサービス適合性評価の要求事項、表2は、データ分類別のクラウドサービス適合性評価の要求事項を整理したものである。
イタリアの政府クラウドの場合、「重要」や「戦略的」に該当するクラウドサービス適合性評価を満たすためには、ISO 22301(事業継続マネジメントシステム−要求事項)や、ISO/IEC 20000-1(情報技術-サービスマネジメント-第1部:サービスマネジメントシステム 要求事項)への対応への対応も求められるので、注意が必要だ。
イタリアのクラウド戦略の柱となる国家戦略ハブ(NSH)は、イタリア全土の複数の行政機関にサービスを提供できる新しいITインフラを開発して、行政機関の複数のデータセンターのセキュリティと信頼性を合理化し、強化することを目的としている。NSHのデータセンターは、イタリア北部のロンバルディア州と中部のラツィオ州に、それぞれ冗長構成を維持できるよう分散配置されている。
NSHは、暗号化されたパブリッククラウド(イタリア国内)サービス、すなわち行政機関向けのパブリッククラウドに統合されたオンプレミスの暗号化ツールをサポートし、プライベートクラウドサービスの範囲、すなわちライセンス供与されたプライベート/ハイブリッドクラウド(イタリア国内)および認定されたプライベートクラウド(イタリア国内)を提供する役割を担う。加えてNSHは、分類および資格付与手続きに従い、中央の行政機関や主要な地方行政機関(例:地域行政機関、地方保健当局および大都市)を支援する役割も担う。各行政機関は、2025年末を目処に、既存システムのクラウド移行作業を進めている
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