CFB技術と局所シールド技術で薄膜アナログICの3次元集積に成功材料技術(1/2 ページ)

OKIと日清紡マイクロデバイスは、「Crystal Film Bonding(CFB)技術」と局所シールド技術を組み合わせた薄膜チップレット技術を用いて薄膜アナログICの3次元集積に成功した。

» 2024年10月21日 07時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 OKIと日清紡マイクロデバイスは2024年10月17日、都内およびオンラインで記者会見を開催し、半導体薄膜接合技術「Crystal Film Bonding(CFB)技術」と局所シールド技術を組み合わせた薄膜チップレット技術を用いて薄膜アナログICの3次元集積に成功したと発表した。今回の技術は、アナログICなどの多様な半導体デバイスを集積するヘテロジニアス集積に応用可能。両社は今回の技術を用いた製品開発を進め、2026年の量産化を目指す。

今回の技術のイメージ 今回の技術のイメージ[クリックで拡大] 出所:OKI、日清紡マイクロデバイス

アナログICの機能と市場規模の拡大

 アナログICは、音楽や映像、温度、光などのアナログ信号を処理するもので、センサーインタフェース、電源管理、通信などで活用されている。アナログICの市場規模は2023年時点で12兆円に達しており、2028年には17兆円になると予測されている。市場規模の拡大に当たっては民生、車載、産機の3セグメントで成長が見込まれている。日清紡マイクロデバイスグループで電子デバイス生産を担う日清紡マイクロデバイスATの生産技術部 専門課長 工学博士の緒方敏洋氏は「特に民生と車載の用途で市場の伸長が著しい」と話す。

アナログICの役割と市場規模の拡大 アナログICの役割と市場規模の拡大[クリックで拡大] 出所:OKI、日清紡マイクロデバイス

 アナログICの市場ニーズに関して一例を挙げると、自動運転/高度運転支援システム(ADAS)に搭載される車載センサー数の増加に伴い、センサーの信号処理を担うアナログICのニーズが増えていることがある。「最新の自動車は1台当たり50〜100個の車載センサーが搭載されている。そのため、車載センサーには設置場所の自由度向上を目的に小型化が求められている。併せて、車載センサーのアナログ信号を正確に処理する小型アナログICのニーズが高まっている。高性能と小型化を実現するためにアナログICで集積化が求められている」(緒方氏)。

アナログICの市場ニーズ アナログICの市場ニーズ[クリックで拡大] 出所:OKI、日清紡マイクロデバイス

アナログIC集積化の課題

 前工程における微細配線化あるいは後工程におけるダイスタック(ダイの積層)によるアナログICの集積化には課題がある。微細配線化はアナログICの耐圧性低下やノイズの増加を招く他、ローエンド品に適用しても微細配線化で必要な巨額の投資を回収できない。ダイスタックは積層により集積化が可能だ。しかし、後工程でのチップ薄型化には限界があり、低背化が求められるパッケージには搭載できない。

アナログIC集積化の課題 アナログIC集積化の課題[クリックで拡大] 出所:OKI、日清紡マイクロデバイス
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