BlackBerry Japanは、日本の組み込みソフトウェア開発者を対象とするアンケート調査の結果について説明した。
BlackBerry Japanは2024年10月1日、東京都内で会見を開き、日本の組み込みソフトウェア開発者を対象とするアンケート調査の結果について説明した。現状では、コストを重視する観点からLinuxに代表されるオープンソースOSを優先して採用しているものの、規制対応が求められるサイバーセキュリティや機能安全とともにリアルタイム性能を重視していることから同社のリアルタイムOS(RTOS)「QNX」などの独自OSを採用する余地が大きいことが分かったという。
今回の調査は、組み込みソフトウェアの開発に携わる世界の1000人を対象に、2024年7〜9月にオンラインで実施された。1000人の内訳は、北米が350人、欧州が450人、アジア太平洋が200人で、日本からはアジア太平洋の半分となる100人が調査に参加している。また、業界別の内訳では、自動車が32%、産業機器/ビル/エネルギー制御が29%、医療機器が20%、ロボットが16%などとなっている。
BlackBerry Japan カントリーセールスディレクター 日本 IoTのアガルワル・サッチン氏は「自動車や産業機器、医療機器、ロボットといったミッションクリティカルな組み込み機器のソフトウェア開発のトレンド分析を目的とした調査で、当社としては今回初めての取り組みとなる。組み込み機器開発がソフトウェアデファインドな時代を迎える中で、セキュリティ機能安全、リアルタイム性能に対する要求がどのようなバランスになっているかを知るべく行った」と語る。
世界1000人の1割に当たる日本の100人を対象とした調査結果では、71%がセキュリティを「最優先事項」または「優先度が高い」と考える一方で、58%は現行OSでの安全認証の取得は「極めて大きな課題」または「かなり大きな課題」と認識していることが分かった。なお、世界全体では、セキュリティ重視が73%、安全認証取得に課題を感じているのが61%となっており、ほぼ同じ傾向と言っていい。
これらセキュリティ対応と安全認証取得を組み込み機器で実現する場合に影響が出るのがリアルタイム性能である。日本では75%がリアルタイム性能について「極めて重要」または「かなり重要」と評価しており、世界全体の68%と比べて高いニーズがあることが分かる。このことは、リアルタイム性能を引き出しやすいRTOSへの高い需要につながってくる。
QNXのような独自OSはサイバーセキュリティへの対応でも優位性がある。例えば日本の100人を対象とした調査結果では、独自OSユーザーのセキュリティ侵害率である16.7%に対し、オープンソースOSユーザーの30.6%と2倍近くまで増えている。世界全体のセキュリティ侵害率は、独自OSユーザーが40%、オープンソースOSユーザーが46%となっており、これらと比べて日本におけるセキュリティ侵害率が大幅に低く抑えられていることが分かる。
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