B面の接触要素を“摩擦あり”に変更して解析した結果を図10に示します。摩擦係数は0.15[-]としました。ぱっと見ではあまり違いが出ませんので、詳しく見ていきましょう。
図11に、連載第1回でき裂が発生するであろうと予測した位置の拡大図を示します。図11左図ではC部の高応力領域が大きいのですが、図11右図の摩擦あり接触では高応力領域が狭くなっています。
図12に、ボルト部の断面を示します。B面の接触状態ですが、図12左図は密着しています。固着の接触要素が設置されているので当然の結果です。一方、図12右図は隙間が発生しています。ここがポイントです。ボルト軸が真っ赤になっていますが、これはボルトの初期締結によってボルトに引張応力が発生しているためです。ボルトについては本連載の後半で説明します。
摩擦あり接触の解析結果をもっと詳しく見ていきましょう。フレームだけ取り出したものを図13と図14に示します。図13のF部に応力集中が発生しており、ここからクラックが進展したと考えられます。
以上が接触要素を使った応力解析事例です。フレームが「ポキッ」と折れるようなことはなく、壊れるとすれば結合部のどこかになります。そして、結合部の強度計算では“摩擦あり”接触要素が必要であることをご理解いただけたでしょうか。
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