自動車メーカー各社の電池生産計画を経済産業省が認定電動化(1/2 ページ)

自動車メーカー各社が経済産業省の「蓄電池に係る供給確保計画」の認定を受けた。

» 2024年09月09日 07時15分 公開
[齊藤由希MONOist]

 自動車メーカー各社が2024年9月6日、経済産業省の「蓄電池に係る供給確保計画」の認定を受けたと発表した。電動車の普及と経済安全保障のため、蓄電池の安定供給確保を後押しする。

 経済産業省が定める「蓄電池に係る安定供給確保を図るための取組方針」は、経済安全保障推進法に基づき、特定重要物資として指定した蓄電池の生産基盤を強化するためのものだ。蓄電池だけでなく、部素材や製造装置も対象となる。

 蓄電池は装置産業のため、大規模な投資が求められる。蓄電池のサプライチェーンとして、生産能力や技術を確保するために政府が支援する。

 なお、2023年4月と同年6月にも複数の企業が蓄電池の供給確保計画の認定を受けている。

トヨタ自動車

 トヨタ自動車は、2026年導入の新型EV(電気自動車)に搭載するパフォーマンス型の次世代電池と、全固体電池の開発/生産計画が認定された。パフォーマンス型の次世代電池に関する計画は、プライムプラネットエナジー&ソリューションズやプライムアースEVエナジーのそれぞれと申請した。

 合計3件の計画で、生産規模は合わせて年間9GWhを見込んでいる。事業総額は2450億円で、最大856億円の助成を受ける。

 トヨタ自動車は、プライムプラネットエナジー&ソリューションズやプライムアースEVエナジー、豊田自動織機とともに2023年6月にもEV向け電池で供給確保計画の認定を受けている。この計画では生産能力が年間25GWh、事業総額は3300億円、最大助成額は1178億円となっている。

 トヨタ自動車が開発を進めている車載用の次世代電池は、液系が(1)パフォーマンス型、(2)普及型、(3)ハイパフォーマンス型の3つに分けられる。

 パフォーマンス型は角形で、空力や軽量化など車両としての効率向上によって1回の充電で走行距離1000kmを目指す。普及型ではバイポーラ構造を採用するとともに、安価なLFP(リン酸鉄リチウム)を使用する。ハイパフォーマンス型は、バイポーラ構造にハイニッケル正極を組み合わせる。

 これらとは別に全固体電池も開発中で、パフォーマンス型の次世代電池と比べて走行距離を20%向上させる目標だ。さらに、パフォーマンス型から走行距離を50%改善する高性能版の全固体電池も開発しているという。

日産自動車

 日産自動車は、車載用リン酸鉄リチウムイオン電池の開発と量産の取り組みが認定された。国内でリン酸鉄リチウムイオン電池の開発と生産を行うことで産業基盤を確立したい考えだ。事業総額は1533億円で、最大557億円の助成を受ける。生産規模は日本国内で年間5GWhを計画している。

 日産が開発する次世代のEV用バッテリーは、三元系、LFP、全固体電池の3種類だ。三元系リチウムイオン電池は、急速充電にかかる時間を現行モデルから50%短縮するとともに、エネルギー密度を同50%向上させる。

 リン酸鉄リチウムイオン電池は軽EVに搭載するためコストを現行モデルから30%削減することが目標だ。全固体電池はパイロット生産ラインの建設を進めている。日本国内では合計10GWhの生産能力を確保する。

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