日立インダストリアルプロダクツは、最大20台のEVの同時充電が可能なマルチポートEVチャージャと通勤用EVを組み合わせたCO2削減モデル「Workplace E-Powering(WEP)」について説明した。
日立インダストリアルプロダクツは2024年8月21日、土浦事業所(茨城県土浦市)で会見を開き、最大20台のEV(電気自動車)の同時充電が可能なマルチポートEVチャージャと通勤用EVを組み合わせたCO2削減モデル「Workplace E-Powering(WEP)」について説明した。同事業所のマイカー通勤者324人全員がWEPを利用した場合、年間のCO2削減量は370トンに達し、マイカー通勤の燃料代金として支払われてきた通勤手当も年間3000万円削減できると試算されている。さらに、日立グループの国内拠点全体で導入した場合には、年間CO2削減量は3万トンとなり、通勤手当を年間23億3500万円削減できる可能性があるという。
日立インダストリアルプロダクツ 取締役社長の小林圭三氏は「当社は日立グループの中で、大型産業機械を中心に顧客の求めに応じたテイラーメイド型の非量産系モノづくりを担っている。マルチポートEVチャージャは、得意とする中高圧の電機システムの技術を応用して開発しており、さまざまな機能をソフトウェア変更で追加できるソフトウェアデファインドであることを大きな特徴としている。土浦事業所で実証を開始したWEPは、マルチポートEVチャージャというプロダクトを中核としたソリューションとして提供していくことになる」と語る。
2024年7月から始まったマルチポートEVチャージャによるWEPの実証運用は2年間を想定しており、通勤用EVへの最適な充電マネジメント手法の確立に加えて、日立グループ傘下のGlobalLogicとの協創によるWEPの従業員向けスマートフォンアプリの開発などを進める計画だ(2024年度内に導入予定)。通勤用EVの導入台数も現在の20台から順次増やしていくとしている。
日立インダストリアルプロダクツを統括する日立製作所のコネクティブインダストリーズ(CI)セクターは、土浦事業所の他にも茨城県内に複数の事業所があり、今後2〜3年をかけてマルチポートEVチャージャを用いたWEPの導入を広げていく方針である。他事業所では、マルチポートEVチャージャにV2X(Vehicle to Everything)機能を追加して、通勤用EVのバッテリーを蓄電池として活用しピークシフトやピークカットなどを可能にする充放電マネジメントにも取り組む。
CIセクターでは、災害時などにEVのバッテリーの電力をビルのエレベーターや給水ポンプを動かすのに活用できる日立ビルシステムの「Hybrid-PCS」や、EVのバッテリーを再利用した日立ハイテクの可動式蓄電池「バッテリーキューブ」などもある。「これらEVを軸としたカーボンニュートラルへのソリューション展開を強化していく。また、日立創業の地である日立市とも連携しながら多面的にCO2排出削減に貢献していきたい」(日立製作所 コネクティブインダストリーズ事業統括本部 事業戦略統括本部 グリーン戦略推進センタ長の末次陽二氏)としている。
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