その後、欧州委員会は、「2021年欧州スポーツウイーク」(2021年9月23〜30日)の中で、タルテュコールのフォローアップ活動となる「2021〜2023年HealthyLifestyle4Allイニシアチブ」を立ち上げた(関連情報)。その際、欧州委員会は、各種スポーツ団体や市民団体、国際レベル/国家レベル/広域レベル/自治体レベルの政府機関を招待してキャンペーンにおける共創を呼びかけている。
HealthyLifestyle4Allは、スポーツおよびアクティブなライフスタイルを、保健、食品およびその他の政策と結び付けることによって、世代や社会グループの枠を超えた皆のための健康なライフサイクルを促進することを目的としており、以下の3つの柱を掲げている。
HealthyLifestyle4Allには、2年間で、欧州全域から103件のプロジェクトが参画した。ここで、ITソリューション主導のプロジェクトを見ると、表2のような事例がある。
EUにおいても、ICT利活用による世代を越えた意識の向上が、健康/ウェルビーイング戦略の一大テーマとなっている。
このHealthyLifestyle4Allイニシアチブに対して積極的な支援を表明したのが、国際オリンピック委員会(IOC)だ(関連情報)。IOC 会長のトーマス・バッハ氏は、HealthyLifestyle4Allにより、人々がEU域内外を移動できるようにするデジタルプラットフォームや活動を介して、スポーツによる身体およびメンタルヘルスのベネフィットを促進し、強化するとしている。
EUとの連携強化に先立ちIOCは、2021年3月12日の第137次IOC総会で、2021〜2024年までのロードマップとなる「オリンピックアジェンダ 2020+5」を採択していた(関連情報)。このアジェンダでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的感染拡大からの教訓などを踏まえて、「連帯」「デジタル化」「持続可能な開発」「信頼性」「経済的・財政的なレジリエンス」という5つのトレンドを示した上で、表3の通り15の提言を表明している。
その上でIOCは、HealthyLifestyle4Allの期間中、健康のための身体活動促進を柱する世界保健機関(WHO)との戦略的パートナーシップも強化していった。2023年6月13日には、IOCとWHOが連携し、2024年パリオリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、日々の健康的な身体活動の促進を目的とした「Let's Move」キャンペーンを開始したことを発表している(関連情報)。
他方、欧州レベルでは、2024年2月6日、WHO欧州事務局と欧州委員会が、気候変動、デジタルヘルス、薬剤耐性、医療/介護労働力などの課題に向けて、戦略的パートナーシップを強化することを発表している(関連情報)。さらに、パリオリンピック開会日の7月26日には、欧州オリンピック委員会(EOC)と欧州委員会が、2027年末までの間、第4回トルコ・イスタンブール欧州競技大会、欧州ユースオリンピックフェスティバルなどのイベントに関する協力で合意したことを発表するなど(関連情報)、ポストパリオリンピックのレガシー(社会遺産)に向けたEU、IOC、WHOの政策連携が展開されてきた。
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