フローで考える熱のモデリング(その3) 〜ドライヤーを例に熱のモデリングを行う〜1Dモデリングの勘所(33)(2/4 ページ)

» 2024年07月18日 09時00分 公開

パラメータの決定

 次に、各要素のパラメータを決定する。

ヒーター

 棒状の材料の電気抵抗Rは、棒の両端の電位降下Vを、棒を通過する電流iで除した式(オームの法則)

式7 式7

で表現され、抵抗は電流が導体(棒)を通過する際に消費されるパワー(単位時間当たりのエネルギー)

式8 式8

を決定する。これを「ジュール熱」という。抵抗に関する物性である電気抵抗率ρeは次式で定義される。

式9 式9

 Aは棒の断面積、Lは長さである。以上の関係を図4に示す。

ヒーターの性質と形状 図4 ヒーターの性質と形状[クリックで拡大]

 ヒーターは図4右図に示すように直径Φ[m]、長さL[m]の丸線形状のニクロム線とする。今、このニクロム線に電圧Vを印加すると抵抗体を流れる電流によってジュール熱が発生する。ここでオームの法則を使ってジュール熱を表現すると、

式10 式10

となる。ρe[Ωm]は電気抵抗率で、ニクロム線の場合はρe=1.079×10-6Ωmである。なお、ここでジュール熱を1kW一定とすると、

式11 式11

となる。すなわち、電気抵抗Rは一位的に決まるので、

式12 式12

となる。

ファン

 ドライヤーで使用するファンとして、図5に示す特性のファンを想定する。

ファン特性 図5 ファン特性[クリックで拡大]

ヒーターと流れ間の強制対流熱伝達

 ヒーター(円柱物体)と流れ間の強制対流熱伝達は経験的に、

式13 式13

となることが知られている(参考文献[1])。ここに、

式14 式14

で、G=hA、A=1/2πΦL(円柱の半側面で熱伝達が行われるとして)であるから

式15 式15[クリックで拡大]

となる。この式を整理して、ヒーターと流れ間の強制対流熱伝達による熱コンダクタンスは、

式16 式16

となる。λは空気の熱伝導率で0.03W/m・K、νは動粘性係数で15×10-6m2/s、cpは比熱で1000J/kg・K、また、粘性係数はμ=ρνで、密度ρは0℃のとき、1.293kg/m3である。

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