電気通信大学は、リハビリテーションロボットのアシスト中の機械的な透明性を高める革新的な手法を開発した。患者はリハビリ中にロボットの機械的特性に制約されることなく、自然な動作ができる。
電気通信大学は2024年5月13日、リハビリテーションロボットのアシスト中の機械的な透明性を高める革新的な手法を開発したと発表した。
機械的な透明性とは、リハビリテーションロボットなどを装着した人の動作にロボットが追従した際、ロボットの存在を装着者が力覚的に感じない状態を指す。
今回の研究では、肩関節リハビリテーションロボットのアシスト中の機械的な透明性を向上させる技術と、透明性を検証するベンチマーク試験を開発した。
ロボットの関節駆動に、独自開発した融合型ハイブリッドリニアアクチュエーターを搭載することで、外部からのさまざまな動きに強い、精密なトルク制御が可能となった。トルクの制御性を評価したところ、ロボット装着者(患者)の動きに対してロボットが迅速に応答し、適切なトルクでアシストできることが実証された。
試験機の透明性の評価実験結果。トルクの生成能力は、P-PとP-Eの2つの制御方法で比較した。a:Slow条件(0.31rad/秒)における関節トルク。b:Fast条件(0.65rad/秒)における関節トルク。c:トルクの平均二条平方根誤差の比較[クリックで拡大] 出所:電気通信大学従来のロボットでは、ロボット固有の特性により、患者の自由を制約する相互作用力が患者とロボット間に発生する。また従来の透明性コンセプトは、相互作用をゼロに保つことで患者は自由に動作できるが、アシスト力は発生しない。
今回提案した透明性のコンセプトは、ロボットと患者の間で相互作用力が発生するアシスト中に、患者の動きにロボットが追従しつつもロボット固有の特性を適切に打ち消し、理想的な相互作用力を保つものだ。これまで難しかった中等度や重度の片まひ患者に適応するリハビリテーションロボットへの応用が期待される。
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