それでは、先ほどのオフィスに戻って、友安製作所の「現在」を支える2人にお話を聞いてみましょう。今回取材したのは入社17年目のファブリケーションデザイン部 製造課の山東清高(さんとう きよたか)さんと、入社1年目のソーシャルデザイン部 広報の國清 彩(くにきよ さや)さんです。
山東さんは社員数が10人前後の時代に入社した、友安製作所をよく知るベテラン社員。一方、國清さんは友安製作所初の新卒採用で、2023年に入社した若手社員です。部署も在籍期間も異なる2人から、それぞれ「友安製作所らしさだと思うもの」をテーマに話を聞きました。
――自己紹介をお願いします。
山東さん ファブリケーションデザイン部 製造課の山東清高です。主にカーテンレールなどの長さのあるものを、お客さまのニーズに合わせてカットする部門を担当しています。社内ではKirico(キリコ)と呼ばれています。
私のビジネスネームは、好きな画家のジョルジョ・デ・キリコと、金属を切削したときに出てくる切粉(きりこ)、大好きな日本酒を楽しむときに使うお気に入りの酒器「切子」に由来しています。
※ものづくり新聞編集部注:友安製作所では、社員は名前や役職ではなくビジネスネームで呼び合っています。ちなみに、現会長 友安宏明(ともやす ひろあき)さんのビジネスネームはDon(ドン)、現社長 友安啓則さんはBoss(ボス)です。
――現在の主な業務内容について教えてください。
山東さん もともとは機械工として入社し、カーテンフックの機械の整備を担当していました。しかし社内で使用する機械が減り、カーテンレールの売り上げが右肩上がりに増えたため、現在ではお客さまの注文に合わせてカーテンレールのサイズを調整し、カットする業務を担当しています。
※ものづくり新聞編集部注:レールをカットする際、火花が散るインパクトのある様子は、工場見学などで子どもたちに好評です。火花が散るシーンを動画に残しましたので、ものづくり新聞Instagramでぜひご覧ください。00:15ごろに火花のシーンがあります。
――40代で友安製作所に転職されたきっかけは?
山東さん それまでは20年ほど、生活協同組合や病院で総務の仕事をしていましたが、業務条件の都合で病院を退職し、退職後の数カ月は日本各地を旅して回りました。各地のお祭りを見るのが好きで、青森県や岐阜県などに行きました。そして今後の人生を考えるうちに、これからは新しい分野でキャリアを築いてみたいと思うようになり、その時すぐに思い付いたのがモノづくりの世界です。
私が小さい頃から父親が木工所を経営していたこともあり、製造業への憧れがあったのです。父親が作った木製の家具に囲まれて生活する中で、自分にもこんなものが作れるのだろうか? と興味を持つようになりました。家具は父親の手によって、見えない部分まで抜かりなく、長く安全に使えるように作られていました。どの家具もずっしりと重かったことを覚えています。
転職を考えたとき、父親の木工所はかなり事業を縮小していたため、残念ながら一緒に働くことはできませんでした。友安製作所で会長と社長が親子で言い合いをしながらも互いを尊重して仕事をしている関係性を間近で見ると、自分もああいう風になりたかったなとうらやましくなります。
転職活動を進めるうち、自宅から車で通える範囲で、転職先の候補が2つ見つかりました。1つは製造と総務を両方担当してほしいと言われた企業で、もう1つが製造分野のみでオファーがあった友安製作所です。迷ってすぐには決められなかったのですが、Bossからの「明日から来られます?」という突然の電話がきっかけで、導かれるように友安製作所を選びました。その電話があった日の夜、会社まで迷わずたどり着けるのか確かめたかったので、車を走らせて予行演習をしたのを覚えています。
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