――変更という意味では、今回キースイッチをメカニカルにして、ホットスワップで交換可能にしていますね。
山口氏 HHKBは静電容量というイメージが強いと思いますが、メカニカルスイッチも昨今はいろんなバリエーションが増えています。クリッキーな「カリカリカリ」というものもあれば、重いものや軽いもの、静音タイプ、いろんなものが出てきています。Studioのキースイッチを選ぶ際は、静電容量一択ではなく、メカニカルスイッチもしっかりと候補にいれ、いろいろと試してみました。
さらにStudioはお客さん自身でもっと自分らしいスタイルのキーボードに変えていただきたい、というコンセプトがあります。ぜひ、自分なりのスイッチに変えていただければと思いますし、そのためにホットスワップに対応するという形にしています。
――これは逆に言うと、スイッチを取り外せるようにするために、静電容量をやめたっていうことなんですかね。
松本氏 私たちからすれば別に静電容量にこだわる必要はなくて、メカニカルでも従来のHHKBプロフェッショナルと同じような打鍵感に近いものをチョイスできるという時代に変わってきたのが、今の状況だということですね。
――そうですよね。今回お貸し出し機も送っていただいて使ってみたんですけど、資料を読むまでメカニカルだって気が付かなかったですね。てっきり静電容量かと思っていました。結構タッチ感が似ているスイッチになっているんですけど、これはPFUからスイッチメーカーにリクエストしたんでしょうか。
山口氏 最初は、各スイッチメーカーが持つ膨大な品種の標準キーをサンプルとして入手して、実際に手で触って選定していく作業からスタートしました。スイッチメーカーも4〜5社ぐらいあり、さらに各社がいろいろなバリエーションのスイッチを持っています。基本的にHHKBプロフェッショナルシリーズでは、キー荷重は45gに統一していたので、そのフィーリングを踏襲すべくメカニカルでも45gをターゲットにキー選定を実施しました。
同じ45gでも、静音性だったり、クリック感やストロークの長さ、いろんな要素があって、その中から今のHHKBに適したものはどれかと、私たちも実際に指で「カチャカチャ……」と試していました。その結果、最終的に、HHKB専用のスイッチをカスタムでオーダーして、それを今、標準搭載しているという状況です。
――初代HHKBはUS配列のみでしたけど、Studioをはじめ最近はUSと日本語配列を両方ラインアップされていますよね。
山口氏 はい、2006年に初めてJPモデルを出しました。今の新しい製品は常にJPモデルとUSモデルの2つを用意しています。
和田先生が考えられた配列はUSモデルオンリーですが、今のノートPCなどは日本語配列が主流です。やはりそれに合わせたキーボードも必要ということで、2つのモデルを展開しています。
松本氏 最近では売り上げの半分が、日本語モデルになってきています。だから、ザ・プログラマーという方々だけじゃなくて、本当に高品位なタイピングを求められる方、そしてこのコンパクトさが好きになっていただける方がプログラマー以外にも広がってきて、私たちとしては喜ばしいことだなと思っています。
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