説明会ではAIの専門家としてBeckhoff AutomationのプロダクトマネジャーであるFabian Bause(ファビアン・バウゼ)氏も登壇し、AIの発展による産業界での役割の変化や可能性について説明した。
バウゼ氏は、2019年のハノーバーメッセにおいて既に「インダストリー4.0とAIの融合(Industrie 4.0 meets AI)」がテーマとなっていたことを紹介。ただ、例えば同社の機械学習機能を搭載したソフトウェアPLC「TwinCAT ML」によって浮遊型リニア搬送システム「XPlanar」を制御したように、ここでは主に工場などの現場向けの自動化技術に焦点が当たっていたという。
一方、ChatGPTが登場した2023年には、「Microsoft Copilot」をはじめ多くの企業が独自のアプローチで生成AIを用いたソリューションを展示することになった。バウゼ氏はこの変化について、「重要なのは生成AIによってAIが工場の現場を離れ、オフィスで勤務する労働者にも大きな影響を与えることが明らかになったことだ」と言及。Beckhoff Automationが開発している、大規模言語モデル(LLM)活用によってチャット形式でコードが自動作成され、容易にHMIの構成ができる「TwinCAT Chat」のデモなどを紹介していた。
同氏はハノーバーメッセ 2024ではより製造現場向けに、機器側に搭載されるAIハードウェアがより多く登場する他、AIツールの『民主化』が加速し、より広く活用されると見ているという。そして生成AI分野では、LLMの統合が進行する他、堅牢性の向上も加速すると見ているという。
再生可能エネルギーへのシフトが進む中で、水素関連技術もますます重要なトピックとなっている。ことしは水素/燃料電池業界から約500社が出展する予定で「ハノーバーメッセは水素をテーマとする世界最大かつ最も重要な見本市となる」(ドイツメッセ)という。
説明会において、コックラー氏は、「水素はグリーンエネルギーキャリアとして大きな可能性を秘めているが、現在の普及と拡大のペースは遅すぎる」と述べ、水素経済発展のため、規制分野における大胆な政治的決断、迅速な導入のための集中的な研究開発、規模拡大に必要なインフラの整備が必要と言及。「ハノーバーメッセでは、技術的に何が実現可能かを示し、政治と産業界の代表の間で議論の枠組みを作ることで、水素経済が機能するための具体的なロードマップを決定できるようにしたい」と期待を示していた。
なお、ことしのパートナー国となったノルウェーも「Pioneering the Green Industrial Transition(グリーン産業転換の先駆者)」をモットーに掲げ、再生可能エネルギー、カーボンニュートラル生産、炭素回収、産業のデジタル化の分野におけるソリューション開発を推進している国家だ。同国は今回、クリーンエネルギーとインダストリー4.0を前面に押し出した国家パビリオンの他、水素専門パビリオンも出展する予定となっている。
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