他方、医療機器規制に関連して、FDA傘下の医療機器・放射線保健センター(CDRH)は、2023年10月10日、2024会計年度に発行を計画している各種ガイダンスの一覧表および優先順位を示す「2024会計年度CDRHガイダンス提案」(関連情報)を公表した。
FDAは、2021年1月12日に「人工知能/機械学習(AI/ML)ベースのソフトウェア・アズ・ア・メディカルデバイス(SaMD)行動計画」(関連情報)を公表し、同年10月27日には、英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)およびカナダ保健省と共同で「医療機器開発向けグッド・マシンラーニングプラクティス(GMLP):指導原則」(関連情報)を公表していた。
また、本連載第80回で触れたように、2022会計年度の準備段階で、AIをはじめとする新技術利用に重点を置いた医療機器関連ガイダンスの作成と発行の方針を打ち出していた。2024会計年度ガイダンス提案においても、その後の進捗を反映させる形で、Aリスト(FDAが2024会計年度中に発行したい優先的な機器ガイダンス文書)の中に、以下のような文書が提案されている。
HHS全体レベルでみると、オバマ政権時代に始まった「Meaningful Use」、トランプ政権時代に提言された「Promoting Interoperability(PI)」などの流れを受けた医療IT推進施策として、2023年12月13日、HHS傘下の国家医療IT調整室(ONC)が、「医療データ、技術、相互運用性: 認証プログラムの更新、アルゴリズムの透明性、情報共有(HTI-1)」最終規則(関連情報)を公表している。
この最終規則では、HL7-FHIR、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)など、本連載第44回で触れたAPIエコノミー主導型の医療IT相互運用性標準化/経済インセンティブ付与施策に関わる事項が多く規定されているが、併せて、バイデン政権下で発出された大統領令の目標達成に向けた項目も追加されている。その1つが、2023年10月30日に発出された、AIの安心、安全で信頼できる開発と利用に関する大統領令第14110号(関連情報)だ。大統領令第14110号では、HHSに対して、保健医療におけるAIを規制するために調整することを求めている。
HTI-1最終規則では、アルゴリズムの透明性という項目が追加された。そこでは、認証済み医療技術で利用されるAIおよびその他の予測アルゴリズムに関して、「公平で、適切で、妥当性があり、有効で、安全であること(FAVES)」が求められる。開発者は、FAVES基準に関するアルゴリズムの評価をサポートするために、エンドユーザーに対して、ソース属性を提供する必要がある。規則は、学習データから関係性を導出するアルゴリズムまたはモデルに基づいた意思決定を支援する技術として、予測的な意思決定支援介入(DSI)を定義している。
なおHTI-1最終規則は、2024年2月8日に施行される予定である。米国市場への参入/展開をめざす医療機器/デジタルヘルス企業は、早急に対応する必要がある。
2023年12月14日、HHSのチーフデータオフィサー(CDO)室は、「2023〜2028年HHSデータ戦略」を公表した(関連情報)。
このデータ戦略は、人間のヘルスアウトカムを向上させるためのデータの管理と利用の促進によって、HHSのミッションを果たすことを目指している。それは、利用可能でアクセス可能な、タイムリーで公平な、意味のある利用が可能な、保護されたデータを思い描いており、HHSやそのパートナー、公衆が有効利用することが可能だとしている。また、患者のアウトカムを向上させ、米国連邦政府のがんムーンショットの目標を促進するとしている。
2023〜2028年HHSデータ戦略は、以下のような構成になっている。
上記の優先領域については、HHSの現状および将来展望に関して、文献レビュー、ステークホルダーへのインタビュー、データ成熟度評価、ベストプラクティスのカタログ、HHSの全業務部門からの情報収集など、包括的な俯瞰分析を実施し、集中投資に向けた5つの優先領域を提示している。5つの優先領域に対して、以下のようなイニシアチブを設定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.