機械設計に携わるようになってから30年超、3D CADとの付き合いも20年以上になる筆者が、毎回さまざまな切り口で「3D設計の未来」に関する話題をコラム形式で発信する。第5回は、クラウドプラットフォーム環境がユーザーのメリットとなるのか? デメリットとなるのか? システム管理とデータ管理の2つの視点から考える。
前回は「3D CADベンダーが推進するクラウド対応で設計開発環境はどう変わる?」と題し、少々分かりにくい設計開発におけるクラウド環境の仕組みについて説明しました。
2023年12月1日に行われた「3DEXPERIENCE World Japan 2023」の基調講演の中でもクラウドプラットフォームの活用メリットについて触れ、設計、解析、製造、データ管理、マーケティングの5つの領域で強みを発揮できる/価値創出できる点を紹介していました。
今回はもう少し踏み込んで、クラウドプラットフォーム環境がユーザーのメリットとなるのか? デメリットとなるのか? システム管理とデータ管理の2つの視点から考えます。
筆者もかつては設計業務を行いながらCAD管理者をしていました。CAD管理者の主な業務は以下の通りです。
■CAD管理者の主な業務
筆者を含め、中堅・中小企業のCAD管理者の多くは、設計業務と管理業務の双方を行っており、特に管理業務が大きな負荷になっています。また、情報システム部門のある企業であっても、人手不足や働き方改革が求められており、管理業務の効率化や見直しが求められています。クラウドプラットフォームの活用がこうした課題の解決に役立つと考えられます。
システムをクラウド化すると、「オンプレミス」と呼ばれる自社システムのハードウェアについての管理/運用を行う必要がなくなります。また、ソフトウェアライセンス費用も固定ではなくなり、人員の増員/減員によるフレキシブルな対応が可能となります。これにより、ライセンス保守費用の削減効果が見込めます(※注1)。
システムのクラウド化は設備投資と保守管理費用の削減につながるだけでなく、保守管理の時間も削減されるため、担当者(設計者)は本来の設計業務により多くの時間を割けるようになります。
※注1:人数に変動がなく長期間運用する場合には、サブスクリプション型のライセンスで運用してもコスト削減効果が見込めない可能性があります。導入検討時に試算することをオススメします。
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