アイコムが5Gゲートウェイを発売、中小製造業工場への5G環境導入に最適製造業IoT(1/2 ページ)

無線機大手のアイコムが、携帯電話キャリアのLTE/5G通信に対応するゲートウェイ「IP50G」を開発。Wi-Fi 6準拠の無線LAN機能や有線LANポートの他、USB、RS-485などのインタフェースを備え、中小製造業が大掛かりな工事を行うことなく工場に5G環境を導入するのに最適とする。

» 2023年12月07日 07時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 無線機大手のアイコムは2023年12月6日、東京都内とオンラインで会見を開き、携帯電話キャリアのLTE/5G通信に対応するゲートウェイ「IP50G」を開発したと発表した。Wi-Fi 6準拠の無線LAN機能や有線LANポート、USB、RS-485などのインタフェースも備えており、中堅/中小規模の製造業が大掛かりな工事を行うことなく工場内に5G環境を導入するのに最適とする。同日からオープン価格での販売を開始しており、ハードウェア単体の市場想定価格は約30万円。同社の生産拠点である和歌山アイコム(和歌山県有田川町)における工場スマート化での活用事例を積極的に発信するとともに、IP50Gを中核としたソリューション販売を広げることで将来的に年間500システムの販売を目指す。

アイコムの澤樹誠氏(右)と飯干勇一氏(左) アイコムの澤樹誠氏(右)と飯干勇一氏(左)。両氏の間にあるのが5Gゲートウェイの「IP50G」である[クリックで拡大]

 IP50Gは、外形寸法が高さ68×幅258×奥行き180mmで、重さが約1.7kg。Arm系プロセッサを用いた組み込みシステムとしてハードウェアを構築しており、アイコムが提供するSDK(ソフトウェア開発キット)で開発したアプリケーションによりユーザーニーズに合わせた機能を実装することが可能である。LTE/5Gのキャリア通信機能は、KDDIとNTTドコモに対応するデュアルSIM(SIMカード)を搭載しており、マルチキャリア通信による冗長性を確保している。

「IP50G」の概要 「IP50G」の概要[クリックで拡大] 出所:アイコム

 無線LAN機能はWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)に準拠しており、有線LANは100BASE-TX/1000BASE-T/2.5GBASE-Tの自動識別、MDI/MDI-Xの自動識別に対応する。入出力インタフェースはUSB 3.0 Type-C×2とFA機器で広く用いられているRS-485に加えて、接点入力や電圧入力などの制御入力、無電圧絶縁接点や常時オンの逆動作が可能な制御出力、アナログ音声入出力に対応する汎用インタフェースも搭載している。動作環境は温度が0〜40℃、湿度が5〜95%となっている。

「IP50G」の特徴 「IP50G」の特徴。工場などの現場のさまざまな機器ちつなげてデータを収集し、5G回線で遠隔地とやりとりすることができる[クリックで拡大] 出所:アイコム

 これらの他、機能を自由に設定できるプログラムファンクションキーを筐体後面に装備し、壁面や天井に取り付けるための専用金具も付属する。専用オプションとして、IP5X対応が可能になる防塵(じん)ユニットも用意した。電源は100VのACアダプターで供給する。

 IP50Gは、国内無線機大手のアイコムとして初の5G対応機器となる。水に浮く無線機や国内初のデジタル簡易無線機などを手掛けてきた技術力を基に、近年は無線LAN関連製品やIPトランシーバー、衛星通信トランシーバー、無線機と携帯電話機を融合したIPモバイルフォンなどのネットワーク製品に事業を拡大している。

 アイコム 国内営業部 次長の澤樹誠氏は「これらのネットワーク製品の通信回線は当社がMVNOとなって提供しており、継続的に収益を得るストックビジネスとして売上高の6%を占めるようになっている。IP50Gの事業展開で、通信回線提供によるストックビジネスのさらなる拡大を目指したい。そのために、ユーザーのニーズに合わせて通信容量や速度を設定したきめ細かなプランを用意する方針である」と語る。

「IP50G」を中核にストックビジネスの拡大を目指す 「IP50G」を中核にストックビジネスの拡大を目指す[クリックで拡大] 出所:アイコム
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