アマゾンジャパンがASPの主要顧客として想定しているのは、高齢者施設、ホテル、マンション、地方自治体の4分野である。会見では、これら4分野の先行顧客として、高齢者施設はニチイケアパレス、ホテルは東急ホテルズ&リゾーツ、マンションはインヴァランスと大阪ガス、地方自治体は熊本市の導入事例が報告された。
アマゾンジャパン Amazon Alexaインターナショナル事業開発本部 本部長の澤田大輔氏は「ASPを用いたサービスの構築ではソリューションプロバイダーの協力が不可欠だ。今回報告する5者の導入事例でも活躍しており、2023年末までに累計で1000台以上のASPを用いたEchoデバイスの導入につながった。今後もスピーディーに導入を広げていけるのではないかと感じている」と強調する。
介護施設を展開するニチイケアパレスは、2023年7月に開設した「ニチイホーム南大井」(東京都品川区)の77室にASPによる独自サービスを組み込んだ「Echo Show 8」を導入している。SIを行ったソリューションプロバイダーはNTTデータで、独自のキャラクター「ボイちゃん」を用いて、情報配信や家電制御をスマートホーム、施設内外とのビデオ通話などの機能を音声入力で行えるようになっている。
東急ホテルズ&リゾーツは、2024年1月16日にグランドオープンを迎える「SAPPORO STREAM HOTEL」(札幌市中央区)のプレミア56室にASPによる独自サービスを組み込んだ「Echo Show 8」を導入する予定だ。SIを行ったソリューションプロバイダーはTradFitで、Alexaによる多言語対応で海外からの宿泊客に館内情報や北海道に関する地域のお薦め情報を提供するなどして、サービスの質の向上につなげていく方針だ。
大東建託グループで投資用マンション事業を手掛けるインヴァランスは、2023年11月下旬に完工した管理賃貸マンション「CREVISTA 品川西大井III」(東京都品川区)の39室に、ASPによる独自サービスを組み込んだ「Echo Show 15」を導入している。インヴァランスは、スマートホーム向けの機器やサービスを展開するアクセルラボとの協業で賃貸マンション向けに標準でスマートホームを組み込む取り組みを進めており、今回のASPの採用はその一環となる。Echo Show 15は、入居者が手軽に賃貸管理会社とコミュニケーションを取れるだけでなく、将来的には賃貸マンションの内見も行えるようにしていく方針である。
大阪ガスは、同社の社員と家族が入居する実験集合住宅「NEXT21」(大阪市天王寺区)の一部住戸に、Alexaスキルの「エネルギーダッシュボード」を活用して電力の使用状況などの情報が得られるなどのASPによる独自サービスを組み込んだ「Echo Show 8」を導入する。SIを行ったソリューションプロバイダーはmui Labである。
熊本市は、高齢者向けのコミュニケーションサービス「くまもと安心サポート」の実証実験でASPを採用する。くまもと安心サポートでは、ASPを組み込んだ「Echo Show 8」を用いて、GTFS(General Transit Feed Specification)と連携して路線バスが来る時間を聞けたり、地域の民生委員と気軽にビデオ通話できたりなどのサービスを提供する。SIを行ったソリューションプロバイダーはNTTビジネスソリューションズである。
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