シンガポールでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック期間中、前述の医療/介護ITプラットフォームを共通基盤として、デジタルコンタクトトレーシングアプリケーションの「TraceTogether」(関連情報)や、COVID-19ワクチン接種証明書アプリケーションの「Digital Health Passport」(関連情報)などが構築、運用されてきた。
そして、ウィズコロナからポストコロナへの変革期を迎える中、シンガポールのヘルスITでは、政府主導によるメガクラウド事業者との戦略的連携が急拡大している。例えば2023年2月15日、旧IHiS(現Synapxe)、アクセンチュア、グーグルクラウドは、ポピュレーションヘルスケアの提供、患者エンゲージメントを強化するために協力することを発表した(関連情報)。3社は、データやアプリケーション、サービスが必要な時、必要な場所で、セキュアかつ直ちに利用可能にするために、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)でサポートされたアジャイルで先進的なアーキテクチャを立ち上げた。複数年契約の下で、旧IHiSは、アクセンチュアの専門性を活用して、グーグルクラウドのAPI管理ツールであるApigee(関連情報)を実装していくことを表明した。
具体的なソリューション事例としては、訪問者登録プロセスを、よりスムーズかつ効率化することを目的として、旧IHiSとSingHealthが立ち上げた顔認識自動訪問者管理システム(FRAVMS、関連情報)を挙げている。参考までに、FRAVMSの実証実験では、NECの技術が採用されている(関連情報)。
Apigeeの実装により、2012年個人データ保護法(PDPA)(関連情報)や2020年医療サービス法(関連情報)といった法規制や、HL7-FHIR、DICOMといった医療情報の電子的交換のための国際標準規格に準拠して、患者データを保護するための取組をサポートするとしている。
その後2023年7月7日、旧IHiSとマイクロソフトは、医療における生成AI(人工知能)およびクラウドのイノベーションに関して、協力関係を深めて先導役となることを目的とする覚書(MOU)を締結したことを発表している(関連情報)。加えて両社は、医療従事者がインサイトを生成し、仕事を自動化して効率性を高めることを可能にするような、「Azure OpenAI Service」を活用した医療専門家向けのセキュアな「GPT(Generative Pretrained Transformer)」の開発についても発表している。
今回発表されたMOUの要点は以下の通りである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.