イチから全部作ってみよう(2)ワインのECサイトを作るためにイメージを深めよう山浦恒央の“くみこみ”な話(171)(2/3 ページ)

» 2023年11月16日 07時00分 公開

3.ECサイトについてイメージを深めよう

 電子商取引サイト(以降、ECサイトと呼ぶ)とは、インターネット上で商品を販売/購入できるWebサイトのことです。

 図1は、ECサイトの大ざっぱなイメージです。顧客がWebサイトに訪れると、図1のような商品の一覧が並んでいます。欲しい商品の画像や価格を確認し、商品をカゴに入れます。

図1 図1 ECサイトのイメージ

 図2は、購入予定を確認するカゴ画面です。店舗で商品をカゴに入れるイメージの画面ですね。ここで、カゴに入れた商品を本当に購入するか確認します。「購入へ」を選択すると、発送情報や個人情報を入力します。

図2 図2 カゴ画面

 図3は、注文者や配送先を入力する画面です。ここで、注文者、住所やお届け時間を設定します。最終確認ができたら、購入を選択すると、指定した時間に合わせて商品が届きます。

図3 図3 注文詳細画面

 ECサイトの最大のメリットが、24時間、いつでも/どこでも商品を購入できる点です。ECサイトでは、自宅のPCやスマートフォンにより、商品の価格/在庫情報が一瞬で分かるため、実店舗に行くことなく商品を購入できます。ただし、実物を手に取れないため、「想像した商品でなかった」とガッカリすることも少なくありません。

4.開発者目線から考えるECサイトの特徴

 開発者目線でECサイトについて考えると、以下の特徴があります。

4.1 大事なお客さまのお金を取り扱う

 ECサイトでは、お金を取り扱う都合上、「1円たりとも」金額計算を間違えないことが絶対事項です。読者の中には、「たかが1円でしょ?」と思う方もいるでしょう。しかし、もしお金を取り扱う製品で1円単位の間違いが生じると、社会システムに大きな影響を与えます。ECサイトでも同様に、「たかが1円、されど1円」です。ソフトウェアのバグにより、1円の違いが生じても、ソフトウェア開発会社の社長は、販売会社へ謝罪に行くのが通例です。

 ソフトウェアのバグにより「顧客の財産に損害を与えた」は絶対に避けねばなりません。さらに重大な事故が「顧客の身体を傷つけた」です。この分野の事故は、一度発生しただけで社会的な大問題となり、行政処分や巨額の損害賠償の対象になります(米国で、自動車の自動運転中に事故が起き、大きな問題になりました)。

 従って、ゲーム、ワープロのような事務処理アプリケーション、スマートフォンの制御のように、金銭や身体に重大な影響を及ぼさないソフトウェアに比べ、顧客の財産に損害を与える可能性のある銀行/証券系のソフトウェア、さらには、顧客の身体に傷をつける可能性のある医療機器の制御ソフトウェア、自動車の自動運行制御、航空管制プログラムは、非常に高い品質が要求されます。超大手ソフトウェア開発会社の中には、「顧客の財産や身体に影響するソフトウェア開発は一切、引き受けない」ところもあります。

4.2 365日稼働し続ける

 ECサイトは実店舗と異なり、メンテナンス中を除く24時間、365日稼働します。仮に、ECサイトが使えなくなると、「顧客の購入/販売機会の喪失」「店側の売り上げの減少」となるでしょう。例えば、日商100万円の売り上げがあるECサイトが動作しないと、100万円分の販売機会を失うことになります。

4.3 人の生死には影響はしない

 ECサイトはバグによって「顧客の財産に損害を与える」場合があります。この場合、金銭的な損害が発生しますが、人の生死には影響を与えません。顧客が受けた損害を補填(ほてん)すれば、大きな問題にならない可能性が大です。ECサイトでは、「顧客情報が流出した」「過大な金額を請求してしまった」「顧客から訴えられた」などの事象が発生しても、人の生死に直接影響しないのが「安心材料」です。

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