スワニーは、3D Systemsのペレット押し出し式大型3Dプリンタ「EXT 1070 Titan Pellet」を国内初導入したデモセンター「TITAN ファクトリー」の開所式を行い、同施設を報道陣に公開した。
スワニー(長野県伊那市)は2023年10月19日、3D Systemsのペレット押し出し式大型3Dプリンタ「EXT 1070 Titan Pellet」を国内初導入したデモセンター「TITAN ファクトリー」の開所式を行い、同施設を報道陣に公開した(正式オープンは同年10月20日)。
スワニーと3D Systemsの日本法人であるスリーディー・システムズ・ジャパンは同年6月に、ペレット押し出し式大型3Dプリンタの普及に向けた協業を発表。スワニーはEXT 1070 Titan Pelletを用いて大型部品製造における生産性を実証すると同時に、持続可能なモノづくりの実現に向けて、3D Systemsと共同で一般量産ペレットや再生材のプリントパラメーターの開発などを目指す。さらに、ここでの成果を基に、スワニーは設計サポートを含む3Dプリンティングサービスを国内を含むアジア太平洋地域で展開する計画だ。今回開所したTITAN ファクトリーはそうした活動の中心拠点となる。
開所式では、スワニー 代表取締役CEOの橋爪良博氏、スワニー CMOの吉澤文氏、3D Systems Vise President,Industrial SolutionsのReji Puthenveetil(レジ・プーティンヴィートゥル)氏、スリーディー・システムズ・ジャパン 代表取締役の山崎睦明氏によるテープカットが行われた。
冒頭のあいさつで、スリーディー・システムズ・ジャパンの山崎氏は「スワニーが開所したTITAN ファクトリー、そして3D Systemsの『EXT Titan Pelletシリーズ』を通じて、日本市場に新たな3Dプリンティングの価値を届けられることを大いに期待している。そして、山紫水明の地である信州から新たなイノベーションが生まれ、日本全国に発信していけることを誇りに思う」と述べ、今後の展開に胸を膨らませた。
続いて、国内初導入のEXT 1070 Titan Pelletを備えるTITAN ファクトリーを開所したスワニーの橋爪氏は「われわれのような企業規模で国内初の装置を導入し、併せて、建屋を新たに設けるというのは本当に覚悟のいることだ。多品種小ロットの時代を迎える今、こうした取り組みは誰かがやらなければならない。当社にはマルチなタスクをこなせる高いスキルを持ったエンジニアがそろっており、『EXT Titan Pelletを日本で最初に使うのはうちしかない』という覚悟で進めてきた」と強い思いを語る。
EXT 1070 Titan Pelletは、1000×1000×1000mmの大型造形が可能で、射出成形用ペレットを造形材料として使用できる。また、3Dプリンタ用ヘッドに加え、CNC切削スピンドルツールヘッドを搭載しており、プリント中やプリント後の造形物に対して切削加工を行うことで、高い表面品質と寸法精度を実現できる。「主に航空宇宙や船舶、自動車産業などでの利用を見込んでいる。部品の製造や試作だけでなく、砂型鋳造の型や大型治具の製作など幅広い用途で活用することが可能だ」(3D Systemsのプーティンヴィートゥル氏)。
スワニーでは、これまで素早く、安価に、量産と同じ材料で、金型レスで試作品を作りたい/小ロット生産したいといったニーズに対して、3Dプリンタ製の樹脂型を用いた「デジタルモールド」という工法を提案してきた。しかし、対応できるサイズに限界があり、大型樹脂部品を作りたいというニーズには応えられなかったという。そうした長年の課題を解消する存在となったのがEXT Titan Pelletシリーズだ。導入検討に際して、同社で培われてきた射出成形技術、切削加工技術、3Dプリント技術がEXT Titan Pelletシリーズの性能を最大限発揮する/使いこなすのにぴったりだったこともあり、導入を決めたという。
ペレット押し出し式大型3Dプリンタ(EXT Titan Pelletシリーズ)による国内ビジネスの本格化に期待を寄せるスリーディー・システムズ・ジャパンは、協業パートナーとしてスワニーを選んだ理由を次のように述べている。
「EXT Titan Pelletシリーズは、これまで3D Systemsが扱ってきた3Dプリンタとは異なるスキルが求められる装置ということもあり、われわれ自身が『使ってもらいたい』と感じられるユーザーに最初の1台を届けたいという思いがあった。そうした中、スワニーが掲げる生産技術に基づく、従来工法と積層工法のそれぞれの利点を生かした新たな製造『デザインファクトリー』という考えに共感し、協業するに至った。われわれが目指す“製造に活用できる3Dプリンタ”を実現するには、優れた装置だけでなく、そのパフォーマンスを最大限に引き出すことができるスキルを持ったパートナーの存在が不可欠だ」(スリーディー・システムズ・ジャパン インダストリアルソリューショングループ セールスディレクターの並木隆生氏)
なお、3D Systemsはパートナーシップによる展開にも注力しており、スワニーとの日本での協業の他にも、サウジアラビアのDussurと合弁会社National Additive Manufacturing Innovation(NAMI)を設立したり、インドのMatrix Moonともスワニーと同様の提携を行ったりしている。「これら全てのケースにおいて、私たちはこれらの地域で積層造形の導入を加速し、ビジネス変革を支援することに重点を置いている」(3D Systemsのプーティンヴィートゥル氏)。
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