運搬作業については村田機械のAGF(無人フォークリフト)を3台、自動倉庫を2カ所に設置。また、村田機械やシコウのAGV(無人搬送車)を11台導入している(2023年10月時点)。まず北側の自動倉庫では協力メーカーから届いた熱処理前の旋削完了品や工場内で熱処理を終えた熱処理完了品を保管する。熱処理後の自動倉庫までの搬送などはAGFが行っている。
熱処理後は幅と外径を研削する前工程を経て、今度は南側の自動倉庫に保管され、溝研削や組み立てを行う後工程を待つことになる。南側の自動倉庫から後工程への搬送はAGVが担っており、「コロコロード」と呼ばれる長さ330mの通路を使って後工程へと運ぶ。工場を貫く形になっているコロコロ―ドは搬送の自動化を考慮して設けたものだ。
自動倉庫の各棚にはナンバーが割り振られており、熱処理完了品や旋削完了品など各工程の加工が終わった半製品の所在はシステムで管理しており、NTNの社内ネットワークに接続したPCやタブレット端末から確認できる。各工程の担当者が半製品の所在をタブレット端末で確認してから指示を出すと自動で出庫され、AGVやAGFが次の加工設備の元へ運搬する。このように保管や取り出し、運搬といった倉庫業務は全て自動化した。
自動倉庫にある半製品のデータは差立てシステム(かんばんシステム)と連動している。同システムにより、自動倉庫からの半製品の掃き出しデータを用いて前工程の生産計画を自動作成できる。
後工程の担当者が次に投入する半製品をタブレット端末で自動倉庫から呼び出すと、製品の自動搬送と同時に、取り出された製品を補充するよう前工程の生産計画を自動で作成する。これにより、前工程の担当者が次にどの製品を加工するかの確認や検討が不要になった。システムが作成した計画通りに生産することで、後工程の稼働に影響を与えることなくスムーズな生産を維持できる他、リアルタイムのデータに基づく正確な生産計画を立てられる。また、過剰在庫の保有も防止する。
和歌山製作所の一部の生産ラインの稼働状況は、現地まで行かなくても専用モニターで確認できるようになっている。熱処理工程では各設備の温度や操業状態を一目で把握でき、異常発生時にもすぐに対応することが可能だ。
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