注目デバイスの活用で組み込み開発の幅を広げることが狙いの本連載。第15回は、ひそかなブームとなっている宝探しの勝ち組を目指して、金属探知機を自作する。
最近、宝探しがブームになっていますね。さまざまな著名人の埋蔵金探しが世間を騒がしています。探し当てた人はもうワイドショーやバラエティ番組で引っ張りだこですね。筆者もそれにあやかりたいと思い、金属探知機を作ってみることにしました。これは、土の中に埋もれた鉄や銅、アルミ、そして金などを代表とする希少金属を探し当てるツールです。この他にも、金属探知機には地雷の探知という重要な役割がありますが、今回は実験的な電子工作の範囲ですので、命に関わる地雷探知用の金属探知機は本記事のスコープ外とします。
以下の文章と図1は、海外の金属探知機に関するQ&Aサイトに掲載されている、金属探知機の仕組みについての解答例の1つです。
コイルを使った発振回路を作ります。コイルを金属に近づけるとコイルのインダクタンスが変化するために周波数が変化します。変化した周波数を検出して金属があることを検出します。
シンプルにまとまったとてもよい解答だと思います。そこで幾つか補足しておきます。図1は、金属探知機のコイルから発生する磁力線と探知対象のコイン(Coin)を表しています。コイル(COIL)は円盤状の縁に沿って巻かれており、この図ではそれを円盤の側面から見た状態になっています。
コイルに供給される電流は交流で、1秒間に数千回以上プラスとマイナスが反転します。するとコイルからはS極とN極が反転した磁力線が放出されます。検知領域(DETECTION FIELD)がターゲットの金属片などに当たると、金属片からは渦電量(EDDY CURRENTS)が発生します。この渦電流が、コイルから放出された磁力線に影響を与え、コイル自体のインダクタンスにも影響を与えます。インダクタンスは、大ざっぱに言うとコイルの電磁気的な特性なので、これが影響を受けるとコイルに交流を供給している発振器の周波数も変化します。この周波数の変化を何らかの方法で検出することで金属の存在が発覚するのです。金属探知機が木や土や石には反応しないのは、渦電流が発生する金属の特徴を捉えた探知機だからなのです。
金属探知機は、金属が埋まっている地中に向かってある周波数の電磁波を送出します。この電磁波の周波数は、ターゲットとしている金属の種類によって異なります。鉄を探すのに適しているのは10kHz以上です。金は14KHz以上。3k〜7kHzの周波数では、銀、銅、真ちゅうを見つけることができます。4k〜8kHzの周波数では、ニッケルやアルミニウムがターゲットとなります。また、ターゲットのサイズによっても最適な周波数は異なります。地中でのターゲットの向きにもよりますが、大きな対象物ほど高い周波数が有効です。大きな対象物の位置を特定するのに最適な周波数は7kHz以上です。小さな対象物の場合、最適な周波数は7kHz以下です(表1)。
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