エリクソン・ジャパンが2023年6月に発表した「エリクソン・モビリティレポート」を紹介。今後はインドが5G市場拡大のけん引役となることや、5G体験におけるミッドバンドの重要性などについて説明した。
エリクソン・ジャパンは2023年7月14日、東京都内で会見を開き、同年6月に発表した「エリクソン・モビリティレポート」について説明した。同レポートによれば、2022年末時点で全世界の携帯電話(モバイル)加入契約数は83億人となり、5Gの加入契約数は2023年に15億人に到達するという。4Gの加入契約数は2023年に52億人でピークを迎え、今後は4Gから5Gへの移行が進むため、2028年の加入契約数は5Gが46億人、4Gが38億人となる見込みだ。これまでに、北米と西欧、中東の湾岸諸国、そして日本や中国、韓国をはじめとする北東アジアで5Gの普及が先行してきたが「これからは2022年8月に5Gサービスを開始したインドが注目市場になる」(エリクソン・ジャパン CTOの鹿島毅氏)という。
インドの5G加入契約は2022年末までに約1000万に達しており、2028年末までに国内のモバイル契約の約57%を占めると推定されるなど、世界で最も急速に成長している5G市場となっている。インドにおける5Gの普及が注目されるのは、5Gの真価を生かせるSA(Stand Alone)の比率が当初から高い点にある。
5Gネットワークは、モバイルだけでなく光ファイバー回線を代替するFWA(固定無線アクセス)としての活用が期待されている。日本国内でもホームルーターという形で浸透しているが、今後のFWAの成長のけん引役として期待されているのが、より高速な5Gというわけだ。FWA接続数は、2022年の1億から2028年には3億まで伸長する見込みであり、このうち80%を5GのFWAが占めると予想されている。また、この3億というFWA接続数は、世界の固定ブロードバンドの17%に相当する。
2028年のFWAの3億接続に向けた成長をけん引するのはアジア太平洋だ。特にインドが果たす役割は大きい。鹿島氏は「5G SAによる先進的なネットワークの展開が急速に進んでいることに加え、これまで光ファイバー回線が未整備だったこともあってFWAによるブロードバンド普及が期待されている。人口の多いインドで5G FWAの普及が進めば、それに合わせてコストも削減され、他のアジア市場に広がるのではないか」と語る。
インドはモバイルデータ通信の月間使用量も他地域と比べて多い。世界全体では2023年に月間20GBに到達する見込みだが、インドは2022年時点で26GBとなっている。そして2028年には、インドの月間使用量は62GBまで増加する見込みだ。
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