SUBARU、航空機材料の仮想クーポン試験に複合材料モデリング基盤を導入:CAEニュース
Hexagonは、SUBARUの航空宇宙カンパニーが複合材料の仮想クーポン試験向けに、複合材料モデリングプラットフォーム「Digimat」を導入したと発表した。仮想クーポン試験の結果の評価により、高精度な強度予測が可能になる。
Hexagonは2023年2月16日、SUBARUの航空宇宙カンパニーが複合材料(CFRP)の仮想クーポン試験向けに、複合材料モデリングプラットフォーム「Digimat」を導入したと発表した。基本的に材料試験で取得した値を入力すれば、高精度な強度予測ができることを確認した。
SUBARUでは、連続繊維複合材料の研究において、Digimatの「Digimat-VA」を活用した仮想クーポン試験結果による評価を実施。さらに、仮想クーポン試験から構築した材料モデルを、実部材の一部に適用したメゾスケール解析も行った。
仮想クーポン試験では、JAXA先進複合材料力学特性データベースを基に材料モデルを構築し、ずれの仮想試験でも同様の材料モデルを用いて、誤差10%程度で破断応力を予測。また、Advanced PFAモデルによる積層材モデルの仮想試験では、疑似等方とは異なる配向比において、精度の高い破断応力の予測ができた。
試験と「Digimat-VA」による解析の強度比較(擬似等方)[クリックで拡大] 出所:Hexagon
仮想クーポン試験による許容値カーペットチャート[クリックで拡大] 出所:Hexagon
さらに、要素試験においてもクーポン試験と同等の損傷モデルを実装し、最終破断まで予測できることを確認した。非線形構造解析ソフトウェア「Marc」にて層間剥離の強度解析を行い、試験結果と同様の傾向を予測できると確認。初期損傷の段階では層の剥離が拡大し、他の層間に剥離が発生した後、最終損傷に至る損傷のプロセスを再現している。
解析による層間剥離の様子[クリックで拡大] 出所:Hexagon
航空機業界では、軽量かつ高剛性の複合材料の適用が進んでいるが、材料のバラツキがあり、設計に必要な配向比の強度を取得するために多くの試験を必要とする。また、クーポン試験は、試験の種類、配向比、環境条件と試験数が多く、時間とコストがかかることが課題となっている。SUBARUは、要素試験から詳細試験においても仮想試験を段階的に活用することで、試験数とコストの削減、開発期間の短縮を図る。
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