Matterの大きな特徴は4つある。1つ目は、オープンソースの規格であり誰でも自由に仕様を参照し開発できることだ。ただし、Matterに準拠した製品としての認証はCSAから取得する必要がある。
2つ目は、既存の通信規格との互換性を有していることだ。先述したBluetooth、Zigbee、Z-Wave、Threadといった通信規格のプロトコルとの互換性を有しており、既存のさまざまなスマートホーム機器との接続が可能だ。
3つ目は、セキュリティに配慮した設計によって、スマートホーム機器間の通信の安全性が確保されていることである。
そして4つ目は、BluetoothやQRコード、スマートフォンを活用して簡単にスマートホーム機器を接続することができることだ。これによってスマートホームの利用や設定が容易になり、普及の促進が可能になる。
2022年10月にリリースされた最初のバージョンであるMatter 1.0では、照明デバイス、空調デバイス、コントローラー/ブリッジ(スマートスピーカーはここに含まれる)、テレビなどのメディアデバイス、ブラインド/シェード、防犯センサー、スマートロックをサポートしている。
これらに加えて、現在仕様策定中のデバイスタイプとして、Webカメラ、ロボット掃除機、白物家電、アクセスポイント、エネルギー管理システム、自動ドアなどに用いるクロージャーセンサー、環境センサーとその制御機器、煙&一酸化炭素センサー、アンビエントモーション&プレゼンスセンシングなどが挙がっている。
このようにスマートホーム機器の標準規格の本命とされていることもあり、規格策定団体のCSAには多数の企業が参画している。2023年1月時点の加盟企業は550社以上だ。
メンバーシップは、幹事会社として活動を主導し理事会に参加できるプロモーターの他、標準化仕様策定への参加および仕様の草案とテストに早期にアクセスできるパーティシパント(Participant)、メーカーとしてMatter認定を取得できるアダプター(Adopter)の3つ。2023年1月時点で、プロモーターは29社、パーティシパントは274社、アダプターは247社となっている。
各メンバーシップの参加企業で注目すべきなのが、かつては世界の家電市場を席巻した国内メーカーの存在感の低さだろう。プロモーターは29社中0社であり、パーティシパントは274社中9社、アダプターは247社中3社にとどまっている。
2023年1月にパーティシパントとなったアクセルラボで、規格策定活動にも積極的に参加している青木氏は「当社はSpaceCoreとつながる独自のゲートウェイを開発するためCSAへの参加を決めた。現状、日本企業によるCSAの活動は当社を含めてベンチャーがけん引している状況だ。2023年1月開催の『CES 2023』でもMatter一色となり、サムスン電子とLG電子というライバル企業の展示ブースの間でスマート機器がつながるなど話題に事欠かなかった。その一方で、日本企業の展示ブースにはMatter関連のものがあまり見かけられなかったことは気掛かりだ」と述べている。
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