ルネサス エレクトロニクスは、車載ソフトウェア向け統合開発環境を発表した。ハードウェアのない初期段階から、仕様や機能、性能の検証が可能で、複数のデバイスを搭載したECUレベルのソフトウェアを開発できる。
ルネサス エレクトロニクスは2022年9月27日、車載ソフトウェア向け統合開発環境を発表した。ハードウェアのない初期段階から、仕様や機能、性能の検証が可能で、複数のデバイスを搭載したECUレベルのソフトウェアを開発できる。
「R-Car S4」「RH850/U2A」に対応した4つの要素で構成され、「マルチデバイス用協調シミュレーション環境」「マルチデバイス用デバッグ&トレースツール」は同日から、「ソフトウェア開発向け高速シミュレーター」「マルチデバイス用分散処理ソフトウェア」は同年12月から提供開始する。
マルチデバイス用協調シミュレーション環境は、個別のシミュレーター群を統合、連動することで、ECUの試作前でも、システム全体の設計最適化や動作検証を可能にする。また、MATLABやSimulinkのモデルと連携し、デバイス用ソフトウェアコードや検証用シミュレーション環境の自動生成もできる。
マルチデバイス用デバッグ&トレースツールは、複数のデバイスに対して、ソフトウェアの動作や処理フロー、性能プロファイル、問題点を実際のECU上で可視化する。今後は、マルチデバイス用協調シミュレーション環境の改良に伴い、コンピュータのみでデバッグとトレースが可能になる。
ソフトウェア開発向け高速シミュレーターは、オープンソースの仮想環境「QEMU」をベースとし、ECUレベルの大規模シミュレーションを高速化する。SoCやマイコンを、時間概念を考慮しない抽象度でモデル化したのが特徴だ。
マルチデバイス用分散処理ソフトウェアは、アプリケーションの機能を複数のSoCやマイコンに分散して配置を最適化する。拡張性が高く、ECUのハードウェア構成を意識せずに、システム性能を大きく引き出せる。
ソフトウェアファースト、シフトレフトの開発を促進することで、開発期間と消費エネルギーの低減に貢献する。
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