ThinkPad X1 Foldの2代目モデルにおける進化も、SDTCやクラレとの協業によって実現している。
世界初の折り畳み可能なPCとして2020年10月に発売された初代モデルは、有機ELディスプレイのサイズが13.3インチであるとともに、ディスプレイの屈曲構造の負荷が比較的小さい「U字曲げ」を採用していた。このU字曲げによって折り畳み時には隙間が生まれてしまうが、この隙間に薄型キーボードを挿入することで、実質的に隙間ができなくなる仕様としていた。
2代目モデルの折り畳み可能な有機ELディスプレイを供給するSDTCは、折り畳み時の隙間を最小化できる屈曲構造として「雫型曲げ」を採用した。SDTC 取締役副社長の伴厚志氏は「しかし製品に搭載するには、パネルメーカーである当社が複雑な折り曲げに対応した構造設計を行うだけでなく、セットメーカーであるレノボのヒンジ筐体の機構設計も重要であり、両社の技術のすり合わせが不可欠だった」と述べる。このすり合わせについては、レノボ、SDTCとも国内に開発拠点があることで密な協業を行うことができたとしている。
ThinkPad X1 Foldの初代モデルは、本体に内蔵されたスタンドを用いた画面位置調整の柔軟性に対して顧客から改善要望が出ていた。今回の2代目モデルは、初代モデルで薄型キーボードを挿入していた折り畳み時の隙間がなくなったこともあり、背面に内蔵していたスタンドと合わせて、新たに開発したトラックパッドを搭載した薄型キーボードを収納可能なキックスタンドをオプションで用意した。
このキックスタンドとキーボードの背面の素材として人工皮革「クラリーノ」を提供しているのがクラレである。クラリーノの採用は、2022年6月発売の「ThinkPad Z13 Gen1」に続き2例目となる。クラレ クラリーノ事業部長の熊野敦氏は「クラリーノは、ランドセル素材として広く採用されるなど耐久性に定評があり、ThinkPadが求める−20〜60℃の温度耐久性や、10万回に及ぶ屈曲試験などもクリアできた」と語る。
また、再生プラスチック由来原料のリサイクル率が95%と環境対応でも優れており、ソフトな肌触りと優美な外観を持ちデザイン性も満足させられるとしている。
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