国内企業に強く求められているDX(デジタルトランスフォーメーション)によって、製造業がどのような進化を遂げられるのかを解説する本連載。第5回は、第2回で取り上げたDXで勝ち抜く4つの方向性のうち「非効率を解消するビジネス」の具体例として、CADDi、Rapyuta Robotics、CropIn、b8taの取り組みを紹介する。
前回は、DX(デジタルトランスフォーメーション)が進んだ未来に創造される「DX時代ならではのビジネスモデル」の1つの方向性として、「場を創造するビジネス」を紹介しました。今回は、「非効率を解消するビジネス」を取り上げます。
本連載の第2回で解説したように、モノやサービスの取引には、営業、調達、発注、出荷など、さまざまな作業が付随します。メーカーは、モノを作っているだけでは売れません。買い手である利用者からしても、待っているだけでは欲しいモノを手に入れられないのです。
DXは、その状況に風穴を開けるはずです。モノやサービスの取引における非効率を解消することで、コア業務に集中できる事業環境が生み出されるからです。その方向性は、“作業をなくす”“人手を減らす”“ダイレクトにつなぐ”の3つに分けられます。
CADDiは、板金/切削/金属加工などの発注者と、その委託先となる加工会社の受発注プロセスを最適化するサービスです。その最大の特長は、発注者が図面データをアップロードすると、独自のアルゴリズムで自動解析し、最短2時間で価格と納期を提示することです。発注者からすれば、複数の加工会社に図面を提示し、相見積もりを得る必要がなくなります。しかも、日本全国に存在する提携加工会社の中から最適なところに発注した価格となるため、多くの場合、それまでの費用と比べて同等以下になります。発注作業の効率化に加えて、コストも低減できるわけです。
一方、CADDiの提携加工会社からすれば、自社の得意とする案件のみが紹介されます。発注価格が先に決まっているため、見積書を作成する必要はありません。相応の利益を得られる案件を選べばよいだけになります。
CADDiは、発注者と加工会社をマッチングするだけではなく、受注した業務のQCDも管理しています。図面にある部品を一括で受注した際には、部品ごとに最適な提携加工会社を選定し、CADDiでとりまとめて納品することで全体でのコストを最小化します。発注者からすると、数多くの提携加工会社を組み合わせることで調達コストを最小化するファブレスメーカーのような存在といっても過言ではないでしょう。
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