タンポポにとっての黄色に行きつくもよし、花を選ぶ楽しみもよし。
多様性という言葉をよく耳にするようになったのはいつごろでしたか? 人によっては、あまりいい印象ではない言葉かもしれませんね。多様性のために今までいなかった人が自分の所属する集団に入ってくる中で、誰かがゲタをはかせてもらっているように見えたり、新たに競争になったり、違うやり方が生まれたり、面白くないと感じられるであろうことも起きるからです。
私は多様性という言葉にどちらかといえば前向きなイメージがあります。最初にそう思ったのは大学生のころでした。新聞記者を辞めて大学の教員になった先生に新聞社を目指した就職活動について相談するときに、「新聞記者にはいろいろな人がいた方がいい」という趣旨のことを言われました。
今ならその意味がよく分かります。私は新聞記者によくいるタイプとは懸け離れており、そんな人間が新聞記者を目指し、仲間入りしてもいいのではないかと先生は考えたのでしょう。「はずれ者が進化をつくる 生き物をめぐる個性の秘密」(稲垣栄洋、ちくまプリマー新書)という本を読みながら、どちらかといえば「はずれ者」であることが多い自分自身のことや、世間の多様性のことを考えていました。
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