Hexagonは、非線形構造解析ソフトウェア「Marc」を本間ゴルフが導入し、研究に活用していると発表した。ゴルフクラブのフェース面のトランポリン効果を高める、共振現象を考慮したヘッドの剛性を研究している。
HexagonのManufacturing Intelligence divisionは2022年8月23日、非線形構造解析ソフトウェア「Marc」を本間ゴルフが導入し、研究に活用していると発表した。ゴルフクラブのフェース面のトランポリン効果を高める、共振現象を考慮したヘッドの剛性を研究している。
ゴルフの飛距離は、ゴルフクラブとボールのインパクトによって生み出される。飛距離の最大化には、ボール初速、打ち出し角、スピン量の最適化が不可欠とされており、本間ゴルフは、ボール初速の向上に注目している。
一般的にフェースを効果的にたわませることがトランポリン効果を高め、ボール初速の向上につながるため、どのようにインパクト直後のフェースの接触反力をボールに伝えるかが重要になる。トランポリン効果を表す反発係数には、CT値(接触時間)、COR値(反発速度比)があり、本間ゴルフは、COR値を材料と構造、スペック面で高める研究を行っている。
Marcによる解析でCOR値に注目。ヘッドのフェースの変形周波数と、フェース自体の固有周波数が近くなることで共振現象が生じ、最大限にトランポリン効果が発揮できると仮定した上で、フェース厚みの違いごとの固有モードと周波数の関係を解析した。
その結果、COR値にヘッドとフェースがどのように作用するのかが明らかになった。解析結果は今後、より高性能なクラブの設計に応用していく。
本間ゴルフは、必要に応じて複合領域の解析ソフトウェアを利用できるトークンライセンスシステム「MSCOne」も購入。クラブヘッド面の空力形状の設計と最適化のための流体解析や、打球音を追求する音響解析、複合材料モデリングプラットフォームを使ったゴルフボールのモデル化なども視野に入れ、MSCOneを活用する。
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