ロールス・ロイスは2022年6月15日にオンライン記者会見を開き、次世代エアモビリティや大型航空機などの電動化推進によるネットゼロ実現に向けた取り組みを説明した。
ロールス・ロイス(Rolls-Royce)は2022年6月15日にオンライン記者会見を開き、次世代エアモビリティや大型航空機などの電動化推進によるCO2排出のネットゼロ実現に向けた取り組みを説明した。
同社は2030年までに新製品のネットゼロ対応、2050年までに全製品のネットゼロ対応を掲げている。2022年1月には民間航空機用エンジン製造、鉄道や発電向けのパワーシステム、防衛装備品、小型モジュール原子炉(SMR)という既存4部門に加えて、新たにエレクトリカルを設立し、さらなる電動化推進に取り組んでいる。
ロールス・ロイスで新部門であるエレクトリカルのディレクターを務めるマシュー・パー(Matheu Parr)氏はその役割について「持続可能な移動を実現するため、航空機の電動化を中心とした新しいモビリティに関する技術開発、事業を展開する。2022年内に約400人のエンジニアを500人まで増員する。アジアにおいてはシンガポールに研究開発拠点を置いている。研究開発だけでなく、サプライヤーや販売など各分野と垣根を超えた連携を進める」と語る。
機体の移動距離に応じた取り組みを進める。既存のタクシーのような短距離の移動向けには、空飛ぶクルマとも呼ばれる電動垂直離着陸型機(eVTOL)のUAM(Urban Air Mobility)の開発を推進する。日本では日本航空(JAL)が2025年度にUAMを使ったエアタクシー事業の開始を目指している。ロールス・ロイスは、JALが導入するイギリスのバーティカルエアロスペース(Vertical Aerospace)製UAMに電動推進システムを提供する。
中距離の移動には、9〜19人乗りの航空機向け電動推進システムを開発する。イタリアのテクナム(Tecnam)と共同でノルウェーのヴィデロー航空に電動航空機を提供し、2026年の運用開始を計画している。地域間輸送を担うリージョナル機向けには、エンジンと電動システムを組み合わせたハイブリッド型推進システムの実用化を目指す。
技術開発は着々と進んでいる。すでにロールス・ロイスが開発した電動航空機「Sprit of Innovation」は2021年に最高時速387.4mil(約623Km)を記録し、“世界最速”の電動航空機となった。電動推進システムを提供したエアバスのeVTOL「CityAirbus」は2021年に2300kgの機体を飛行させることに成功した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.