【ケース1】どうする!? 3D CADデータの管理設計現場のデータ管理を考える(1)(2/3 ページ)

» 2022年06月01日 08時00分 公開

3D CADのデータ構造を理解する

 情報、連携性、バージョン/リビジョン管理といった視点で、2D CADと3D CADのデータの持ち方の違いについてまとめたものが表1となります。

CAD上の
データの持ち方
2D CADの場合 3D CADの場合
製品情報
形状情報
なし
(手描き図面をデジタル化したものにすぎない)
あり
(完全なデジタルデータ)
組立図と部品図
連携
なし あり
改訂(リビジョン)
管理
元図データへの上書き、
または図面番号を変えて保存
・元図データへの上書き、または図面番号を変えて保存
・一部CADでは可能
バリエーション
管理
図面をデジタル化したものとして管理、
実形状を表すことはできない
・コンフィギュレーション機能により1つのデータファイルとして管理
・一部CADではコンフィギュレーションではない管理が可能
2D CAD連携 2D CAD機能と連携
表1 2D CADと3D CADのデータの持ち方の違いについて

 筆者は普段、2D CAD機能を備えた3D CADソフトを使っており、単体の2D CADソフトを使用しなくなってからかなり時が経過しています。そのため、最新の2D CAD(単体)の機能動向を詳しく理解していませんが、総じて表1のように区別できるものと考えます。

 情報、連携性、バージョン/リビジョン管理の3つのポイントにフォーカスして、“3D CADのデータの持ち方”についてもう少し踏み込んで考えてみましょう。

(1)情報

 3D CADは、多くの情報をデジタルデータとして保持できます。3D CADソフトの種類によって異なりますが、例えば、形状情報があり、フィーチャー機能を備えた3D CADであれば、フィーチャー情報が含まれます。また、図面付加情報(アノテートアイテム)として、テキストや記号といった情報を保持することもできます。さらに、ユーザー定義のファイルプロパティとして、製品名(部品名)、部品番号(図面番号)、型式、メーカー、設計者、作成日などの情報を持たせることも可能です。

 今回のテーマから少し話がそれますが、3D CADデータにはこうした豊富な情報が含まれているわけですから、うまく使わない手はありませんよね。このあたりの活用についてはまた別の機会に紹介できたらと思います。

(2)連携性

 3D CADは、3D組立図と3D部品図、3D部品図から作られた2D部品図との連携性を有しています。さらに、3D組立図を流用した場合に、流用元と流用先の連携性を保持するか、保持しないかの選択も可能です。連携した3D組立図では、流用元の3D部品図との連携もできるので、その場合は2D部品図との連携が可能です。

2D CADと3D CADの連携性の違いに関するイメージ 図1 2D CADと3D CADの連携性の違いに関するイメージ[クリックで拡大]

(3)バージョン/リビジョン管理

 流用を行うと、3D CADで新たなバージョンが作られます。3D CADソフトによっては、複数の類似部品などを1つのファイルで管理できるコンフィギュレーション機能を備えたものもあり、フィーチャーやパラメータを変更したものを、同一ファイル内で複数管理することが可能です。

 また、設計管理を行う上でとても重要なのは、リビジョン管理です。改訂管理や版管理ともいわれます。多くの情報をデジタルで付加できる3D CADであれば、改訂履歴情報も一緒に扱えそうですが、この管理の役目を担うのがPDMシステムです。

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