3D設計/製造ソリューション「SOLIDWORKS」の年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE WORLD 2022」がオンラインで開催された。本稿では、新たなオファーとして初日のゼネラルセッションの中でアナウンスのあったWebブラウザベースの3D設計&ライフサイクル管理ソリューション「SOLIDWORKS CLOUD」について取り上げる。
3D設計/製造ソリューション「SOLIDWORKS」の年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE WORLD 2022」(会期:2022年2月7〜9日[米国時間])がオンラインで開催された。同イベントは、当初、米国ジョージア州アトランタでの現地開催とオンラインによる“ハイブリッドイベント”として企画されていたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染再拡大の影響により、前回に続き2年連続でオンライン開催となった。
本稿では、SOLIDWORKSブランドのCEOの職を離れ、新たにダッソー・システムズのエグゼクティブバイスプレジデントとして「3DEXPERIENCE Works」の専門組織を率いることとなったGian Paolo Bassi(ジャン・パオロ・バッシ)氏の初日のゼネラルセッションでアナウンスのあった、Webブラウザベースの3D設計&ライフサイクル管理ソリューション「SOLIDWORKS CLOUD」について取り上げる。
SOLIDWORKS CLOUDとは、ダッソー・システムズのビジネス&イノベーションプラットフォーム「3DEXPERIENCEプラットフォーム」を核とするWebブラウザベースの「xApps」と呼ばれる各種アプリケーションを、3DEXPERIENCE Worksポートフォリオで利用可能な特定の業務/タスクにひも付く「ロール」に内包して提供するもので、設計ツールとコラボレーションツールを融合した次世代の設計環境(Computer “Augmented” Design)として位置付けられている。ちなみに、SOLIDWORKS CLOUDの開発は、SOLIDWORKS CADの開発チームが手掛けているという。
ユーザーは、使用するデバイスや場所に縛られることなく、クラウドコンピューティングの恩恵を最大限に生かした柔軟かつ効率的な設計開発環境を手にすることができる。
前回の「3DEXPERIENCE WORLD 2021」において、バッシ氏はクラウドベースコラボレーションを実現する3Dツール群(ロール/xApps)の開発に注力してきたことを明かし、「過去数カ月間で、われわれは全ての設計開発領域に対して、新しいアプリケーションを継続的に提供してきた」(バッシ氏)と述べていた。今回のSOLIDWORKS CLOUDは、設計開発領域に特化し、強化してきたロール/xAppsを広く提供するための枠組みだといえるだろう。
ちなみに、同イベントの製品ブリーフィングセッション「An Introduction Plus What's New in the SOLIDWORKS Cloud Design Roles」では、さまざまな業務をパワフルに支援してくれる各種xAppsの概要(スーパーパワー)について、アメリカンコミックスのスーパーヒーローチーム風のイラストを添えて紹介していた(その名も「xWORKS」)。
SOLIDWORKS CLOUDが提供するロールとxAppsの組み合わせは、
などがあり、Webブラウザを介して各種xAppsを利用できる他、タブレット端末での操作に有効なタッチスクリーンモードも用意する。
また、データ共有/コラボレーションに関するロール「Collaborative Industry Innovator」や、プロジェクト管理に関するロール「Collaborative Business Innovator」も併せて提供されており、「これら全てが非常に競争力のある価格で利用可能だ」(同社)という。
なお、クラウド版SOLIDWORKSこと「3DEXPERIENCE SOLIDWORKS」の各グレード(Standard/Professional/Premium)で提供されるオファー(提供構成)の中でも「3D Creater」や「3D Sculptor」などのロールが含まれているが、今回のSOLIDWORKS CLOUDは3DEXPERIENCE SOLIDWORKSとは異なり、フルクラウド/Webブラウザベースの3Dツール群をまとめて1パックで提供するオファーであり、使用環境へのインストールが不要で、アプリもストレージも全てクラウドで完結するものである(追記:2022年2月14日/下図含む)。
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