さて、今日も矢面さんが印出さんのところにやってきましたね。
印出さん、こんにちは。この前はありがとうございました。社内でフィードバックして、見える化でのデータを使いながら、Web会議で毎日つなぎながら、今立ち上げをやっているところです。
よかったわ。やってみると大変なことも多いと思うけど、頑張ってね。
ありがとうございます。それでこの前の話がすごく分かりやすかったので、また1つお伺いしたいなと思うことが出てきたんです。
あら、どうしたの?
コロナ禍もいつ終息するか分かりませんし、現場の人手不足もますます厳しい状況で、「注目されている協働ロボットはどうなのか」という声が上がっているんです。ただ、それほど使いどころが分からなくて、一度印出さんに考えをお伺いしたいなと思いまして。
なるほどね。確かに「人とロボットが協力して働くなんてすごく未来!」と盛り上がるものの、やってみると「これ柵アリでもええやん」とか「人がやった方が早いで」とか、そういう話ね。
何で関西弁なんですか! ロボットにまつわる何かがあったんですか?
ちょっと昔、ロボットにはつらい思い出が……。まあ、いいわ。せっかくなんで、モノづくり専門メディアのMONOistで掲載されている事例から、使いどころを見ていきましょうか。
協働ロボットは、規制緩和以降で生まれたまだまだ新しい製品分野です。製品そのものも発展の余地がありますが、その特徴は、安全機能を持ち、人と同じ作業スペースで働くことができるという点です。言い換えると、従来必要だった、人とロボットの作業スペースを分ける「安全柵」なしに使用できるロボットということができます。
ただ、協働ロボットも、ロボットであるため、基本的には汎用的な機械で使いどころに応じて最適なセッティングで使用するものです。そのため、一般論としては、ある作業に特化するような専用装置の作業性能にはかないません。さらに、安全柵を利用する産業用ロボットと比べても、人との接触時でも安全性を考慮する必要があるため、高速動作ができないために作業性能は劣ることになります。一方で、柔軟性という面では、動作1つ1つを設定する必要があるため、個々の判断でさまざまな動作を自律的に行える人手作業にはかないません。
つまり、人手と産業用ロボットの間の領域で、独自の価値が発揮できる使いどころを見つける必要があるというわけです。矢面さんも頭を悩ませるわけですね。それでは、実際にどのような使い方がされているのかを見ていきましょう。
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