インフラサービスカンパニーは「エネルギー×デジタル」「インフラ×デジタル」といった形でデジタル技術を活用し、近年東芝が進めてきたCPS(サイバーフィジカルシステム)ビジネスへの転換を推進する。これによって国内トップクラスの地位を確立し、アジアを中心にシェア拡大を目指す方針だ。2023年度には売上高2兆2300億円、営業利益1150億円、ROIC(投下資本利益率)10%を目指す。2021〜2023年度の資源投入額は、設備投資が2160億円、研究開発費が2320億円、投融資が350億円で、合計4830億円となる。
デバイスカンパニーは、パワー半導体で300mmウエハーラインの構築や、次世代デバイスであるSiC(炭化シリコン)やGaN(窒化ガリウム)の技術開発に注力し、ニアラインHDDで大容量製品の開発を加速するなどして、それぞれ年率10%以上の成長を確保する。2023年度には売上高8800億円、営業利益540億円、ROIC(投下資本利益率)18%を目指す。2021〜2023年度の資源投入額は、設備投資が1880億円、研究開発費が1530億円で、合計3410億円。中でも、300mmウエハーラインへの投資は2021〜2022年度で760億円を計上し、2024年度から利益貢献するとしている。
東芝グループとしては、2023年度の売上高は2021年度比4.5%増の3兆5000億円、営業利益は17.6%増の2000億円、ROICは10%となる見通しだ。
なお、今回の2社の分離独立は、2017年度税制改正大綱で導入された「スピンオフ税制」を利用している。大手国内企業がスピンオフ税制を利用することで、会社分割による資産移転で法人税の支払いが優遇される「適格組織再編」を目指すのは初めての事例だという。スピンオフ税制に基づき、東芝の株主はその持ち株比率に合わせて、分離独立する2社の株式が交付されることになる。東芝本体は、分離独立した2社の株式は保有できず、3社が互いに株式を持ち合うこともない。ただし、これまでの債務は東芝本体に残るので、分離独立する2社は債務のない状態から事業をスタートできる点が大きなメリットになる。スピンオフに伴うコストは2021年度以降に約100億円発生するものの、販管費の削減によって相殺する考えだ。
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