ソニーのLPWA「ELTRES」が事業拡大、海抜0mでも利用可能で海にも広がる製造業IoT

ソニーネットワークコミュニケーションズは、「第12回 Japan IT Week 秋」において、ソニー独自開発のLPWA(省電力広域)ネットワーク技術「ELTRES」のIoT(モノのインターネット)ネットワークサービスとしての事業展開状況を紹介した。

» 2021年11月04日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 ソニーネットワークコミュニケーションズは、「第12回 Japan IT Week 秋」(2021年10月27〜29日、幕張メッセ)において、ソニー独自開発のLPWA(省電力広域)ネットワーク技術「ELTRES」を用いたIoT(モノのインターネット)ネットワークサービスとしての事業展開状況を紹介した。

 ELTRESは、ISM帯域である周波数923.6M〜928MHzを用いるアンライセンス系のLPWAネットワーク技術である。空中線電力が20mWの特定小電力(サブGHz)無線でありながら、見通し100km以上の通信距離、時速100km以上の高速移動中でも通信可能という特徴を持つ。また、送信機と受信機間でGPSの時刻情報を同期することによる高精度な通信も実現できる。

 2018年10月から国内向けのサービスを開始したELTRESは、事業展開を協力して進めるためのパートナープログラムの参加企業が250社に達しており、それらパートナー企業からさまざまな産業向けのソリューションが提供されている。

 今回の展示では、これらのソリューションに用いられている通信モジュール/ユニットを多数披露した。タンク内のオイルの残量監視、バッテリーが長寿命のアセットトラッカー、室内向けLPWAネットワーク技術である「EnOcean」と連携したゲートウェイ、害獣対策の罠監視システム、児童などの見守り用の位置情報端末、ゲリラ豪雨などにおける地下道やトンネルなどの冠水を検知するセンサー、コロナ対策でニーズの高まるCO2センサー、ソニーのボードコンピュータ「Spresense」用のELTRESの拡張ボード「SPEXEL」、海上利用も可能なアウトドア用位置情報端末などだ。

「ELTRES」のソリューションに用いられている通信モジュール/ユニット 「ELTRES」のソリューションに用いられている通信モジュール/ユニット[クリックで拡大]

 例えば、CO2センサーはクリエイティブジャパンが開発した「新型コロナウイルス感染症予防支援システム」向けのもので、スマートフォンアプリと連動して施設内のCO2状況をリアルタイムに表示し、3密状態を検知した場合には対策となる行動(室内の換気や室外への退出など)を誘導する。

クリエイティブジャパンの「新型コロナウイルス感染症予防支援システム」 クリエイティブジャパンの「新型コロナウイルス感染症予防支援システム」。タブレット端末の右側にあるELTRES対応のCO2センサーを用いる[クリックで拡大]

 海上利用も可能なアウトドア用位置情報端末は、スキューバダイビングなどの際に利用するものだ。「ELTRESは受信感度が極めて高く、海抜0mでも利用できる点が他のLPWAにはない大きな特徴になる。このアウトドア用位置情報端末でもその点が大きく評価された」(ソニーネットワークコミュニケーションズの説明員)という。

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