エイシングは、「CEATEC 2021 ONLINE」に出展した独自の軽量エッジAIアルゴリズム「MST(Memory Saving Tree)」が、「CEATEC AWARD 2021」の「スタートアップ・ユニバーシティ部門賞グランプリ」を受賞したと発表した。
エイシングは2021年10月19日、「CEATEC 2021 ONLINE」(同年10月19〜22日、オンライン開催)に出展した独自の軽量エッジAI(人工知能)アルゴリズム「MST(Memory Saving Tree)」が、「CEATEC AWARD 2021」の「スタートアップ・ユニバーシティ部門賞グランプリ」を受賞したと発表した。
MSTは、Armの「Cortex-M0+」を搭載するローエンドマイコンでも「軽量かつ高速」に動作することを最大の特徴としている。また、ランダムフォレストなどの一般的なAIアルゴリズムと同等以上の高い予測精度を備えており、推論実行だけでなく学習も行えるのでデバイス上で学習してモデルを更新する「追加学習」も可能だ。
MSTはディープラーニングとは異なる木(Tree)構造のAIアルゴリズムであり、その性能比較を行う場合には、同じ木構造AIアルゴリズムとして既に広く利用されているランダムフォレストが対象になる。これまでは、NASA(米国航空宇宙局)が行っているベンチマーク試験において、MSTがランダムフォレストと同等以上の精度を1000分の1のメモリ容量で実現できるという事例を示していた。
エイシングは、今回のCEATEC 2021 ONLINEの展示に向けて、先述の事例に追加して28のベンチマーク試験でMSTとランダムフォレストの比較を行い、その全てでランダムフォレストよりも大幅に少ないメモリ容量で、同等以上の精度を実現できることを確認した。「これまではチャンピオンデータを示しているだけではないかといわれることもあったが、これだけの数のベンチマーク全てで上回っていることを示せたので信頼して使っていただけると思う。ランダムフォレストを使っているユーザー向けに、その完全上位互換としてMSTを利用できることも示せたのではないか」(エイシング 社長の出澤純一氏)。
なお、CEATEC AWARD 2021の選評では「MSTは、産業用をはじめ、個体差補正など多岐にわたる分野で応用可能なテクノロジーだ。機械制御出身のエンジニアがAI開発に携わっており、組み込み向けの知見があるなど複合領域の知見に秀でている強みがある。センサーなどにAI機能を付与できるエンドポイントAIを具現化する技術であり、国内産業にとってブレークスルーが必要な技術課題を解決するソリューションとなるなど、既に実用技術となっている」という点が評価されたという。
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