コロナ禍がサービスロボットの追い風に!?「関西ロボットワールド2021」レポートロボットイベントレポート(2/3 ページ)

» 2021年09月21日 10時00分 公開
[松永弥生MONOist]

太陽光発電所の運営コストを圧迫する除草作業に「根こそぎ」対応

 ジャトーは、ホテル向けサービスロボットを展示した。人手不足にコロナ禍も加わって対面でのサービスが敬遠される中、ホテル業界でもサービスロボットの活用機会が今後増えていくと考えられる。そこで、ホテルのルームサービスデリバリーロボットの提供を開始した。厨房で、ロボットのタッチパネルにルームナンバーを指定すれば、指定された部屋に食事をデリバリーする。

エレベーター制御機能が搭載されたホテル向けサービスロボット エレベーター制御機能が搭載されたホテル向けサービスロボット(クリックで拡大)

 ロボットには、エレベーターを制御する機能があり、自動的に部屋番号に応じた階層を指定して、目的階で降りることができる。その後、ドアの前で部屋の内線電話を鳴らして宿泊客に到着を伝える。食事のデリバリーを終えたら、ロボットは所定の充電ステーションに自動で戻る。

 食事のデリバリーや配膳以外にも、室内清掃時に交換用のリネンやアメニティーを積み込んでスタッフのサポートをしたり、夜間の廊下を見回ったりなどのオプション機能も実現可能だという。

 CuboRexは、屋外環境で使用できるロボットの足回りの開発に注力している。同社が披露した、2021年秋に正式発表予定の「ネコソギマクンダーZ」は、除草剤販売メーカーと共同開発した除草剤を散布するロボットだ。主な用途は太陽光発電所の除草である。

ネコソギマクンダーZ 「ネコソギマクンダーZ」。全幅70×全長100×全高70cm。重量約40kg。1バッテリーで2〜3時間稼働する(クリックで拡大)

 作業が少人数でできること、人力よりも高速で除草剤を散布できることを意識して開発を進めた。また、太陽光発電所では敷地内の地面に太陽光発電のケーブルを配線するためのダクトが配置されているのが一般的であり、このダクトを傷つけずに乗り越える性能も求められるという。

 除草剤の袋をタンクに置いてから、その袋をカッターで切断すれば除草剤がタンクに収まる。また、予備の除草剤をタンクの上にセットした状態で運ぶこともできる。ロボットの走行はリモコン操作で行う。除草剤の散布口はロボットの前方と右側面にあり、太陽光発電パネルと地面の間のスペースにもしっかりと散布を行えるとのことだ。

散布口は前方と右側に搭載されている 散布口は前方と右側に搭載されており、太陽光発電パネルと地面の間のスペースにもしっかりと散布を行える(クリックで拡大)

 大規模太陽光発電所であるメガソーラーでは、管理費用の10%程度が除草管理に充てられているという。これまで除草を人力で行ってきたが、人手不足と人件費の高騰で除草関連の費用が増加している。そうした背景もあって、ネコソギマクンダーZのようなロボットによる除草作業の省力化が期待されている。

 自然環境下で稼働するロボットであり、さまざまな地形や気候、周辺環境の変化への対応も重要になってくる。雨上がりや斜面の有無など、どんな状況にも対応できるように、実証実験を重ね改良してきたそうだ。

 ネコソギマクンダーZの導入により、人が重い機材を担いで除草作業を行う必要がなくなる上に、人手による作業と比べて4倍の速度で除草剤を散布できるとしている。

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