OKIエンジニアリングは、電気自動車(EV)用パワー半導体向け「劣化・寿命連続モニタリング試験サービス」の提供を開始した。高温逆バイアス試験と同社独自開発の全自動ログシステムを組み合わせることで、高精度な寿命予測とワイドギャップパワー半導体への対応も可能とした。
OKIエンジニアリングは2021年7月26日、電気自動車(EV)用パワー半導体向け「劣化・寿命連続モニタリング試験サービス」を同年7月27日から提供開始したことを発表した。
同サービスは、EV用の電源装置などに搭載され、安全性や信頼性の確保のために高精度での寿命予測が求められるパワー半導体を対象にしたもの。同社が独自に構築した「全自動ログシステム」と、信頼性試験である「高温逆バイアス試験(HTRB:High Temperature Reverse Bias試験)」を組み合わせることで、劣化や故障の常時モニタリングが可能となり、寿命予測精度の大幅な向上を実現する。また、シリコンカーバイド(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などを使用したワイドギャップパワー半導体の試験にも対応する。
パワー半導体の中でも、EV、産業機器、鉄道車両、一般家電などの高出力省エネ電源用として採用が進むワイドギャップパワー半導体は、安全性、信頼性確保を目的とする高精度な寿命予測ニーズが高まっている。
この寿命予測において、高温逆バイアス試験が用いられるが、試験回路基板に複数のパワー半導体を搭載し、所定の時間ごとに試験を中断して、冷却後に専用テスターで電気的特性を測定して特性劣化や故障を判定する従来の方法では、所定の時間内に劣化、故障した個数は分かっても、個体別の劣化経過や故障時刻を正確に把握することが困難だった。
これに対し、同サービスでは高温逆バイアス試験と、データロガー/試験回路基板/故障検出装置(リーク電流測定器)を接続した同社独自開発の全自動ログシステムを組み合わせることで、個体別の劣化経過と故障発生の常時モニタリングを可能とした。また、1000Vまでの電圧源に対応しており、ワイドギャップパワー半導体の試験にも対応する。
適用温度に耐えられる試験回路基板やパワー半導体の特性に適した故障検出装置については、同社が培ってきた長期信頼性試験のノウハウを活用しながら設計、自作し、複数のパワー半導体のうち、1個が故障しても残りの半導体の試験に影響を与えない保護回路も付加。これにより、所定の時間ごとに試験を中断する必要がなくなり、試験期間全体を18%短縮する効果が得られたとしている。
同社は、パワー半導体メーカーや高品質なパワー半導体を自社製品に採用したい装置メーカーなどを対象に同サービスを展開し、年間5000万円の売り上げを目指すという。
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