ソニーのイメージセンサー事業が「反転攻勢」へ、2025年度シェア60%目標を堅持組み込み開発ニュース(1/2 ページ)

ソニーがCMOSセンサーをはじめとするイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野の事業戦略を説明。コロナ禍前の2019年5月に発表した、2025年度におけるイメージセンサー金額シェア60%、3D ToFセンサーなどのセンシング事業の売上構成比30%という目標を堅持する方針である。

» 2021年05月31日 06時30分 公開
[朴尚洙MONOist]
ソニーの清水照士氏 ソニーの清水照士氏

 ソニーは2021年5月28日、オンライン開催の投資家向け説明会「IR Day 2021」において、CMOSセンサーをはじめとするイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野の事業戦略を説明した。コロナ禍前の2019年5月に発表した、2025年度におけるイメージセンサー金額シェア60%、3D ToFセンサーなどセンシング事業の売上構成比30%という目標を堅持する方針である。

 I&SS分野では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックが起きた2020年を境に事業環境が大きく変わった。安定的な成長を想定していたモバイル向けイメージセンサー市場は、米中摩擦の影響も含めて構造が大きく変化し、センシング事業のけん引役として期待していたモバイル3Dセンシングの本格拡大も足踏み状態にある。

 I&SS事業を統括するソニーグループ 上席事業役員でソニーセミコンダクタソリューションズ 社長兼CEOの清水照士氏は「ハードウェアとソフトウェアの両輪で成長を目指すという長期の事業戦略に変更はない。短期的にはCOVID-19や米中摩擦の影響はあるものの、中期的にはイメージセンサー市場は再び成長軌道に戻るだろう。ハードウェアへの投資は需要動向を見て慎重に判断する必要はあるが、イメージングNo.1堅持、センシングNo.1の達成は実現していきたい」と語る。

2019年度時点での長期の事業戦略2021年度はコロナ禍と米中摩擦の影響を受けてアップデート 2019年度時点での長期の事業戦略(左)に対して、2021年度はコロナ禍と米中摩擦の影響を受けたアップデートはあるものの、中期的にイメージセンサー市場は成長軌道に戻るとみている(右)(クリックで拡大) 出典:ソニーグループ

 世界規模のイメージセンサー出荷金額は、コロナ禍以前と比べ成長が鈍化しているが、車載、FA、セキュリティなどの新規領域はCOVID-19の影響は限定的だ。「COVID-19発生直後の時点では、車両販売台数減の影響で車載向けが2019年のレベルまで回復するのに6年ほどかかると想定していたが、中国を中心に想定以上の速さで回復しているのはポジティブだ。車載半導体の供給制限の問題もあるが、徐々に回復してくだろう」(清水氏)という。FA向けは、省人化、5G、リモート関連の投資により中長期的な成長を見込んでおり、セキュリティ向けはCOVID-19の影響はほぼ受けず、COVID-19対策を含めた社会インフラの高次化により堅調に成長している。

世界規模のイメージセンサー出荷金額の推移 世界規模のイメージセンサー出荷金額の推移。2019年度時点と比べ、2021年度は成長が鈍化している(クリックで拡大) 出典:ソニーグループ

 モバイル領域は、スマートフォンなどの背面や前面のカメラといったイメージング向けは短期的に横ばいになるものの中長期では市場成長を続ける見込み。ただし、センシング向けはアプリケーション不足で足踏み状態にあり、本格的な普及拡大は数年先になりそうだ。そして、デジタルカメラなどのAV領域は、もともとの縮小傾向がコロナ禍で加速している。「ハイエンドミラーレスを中心にCOVID-19発生直後と比べて持ち直してはいるが、今後も大きく回復することはない」(清水氏)。

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