古河電気工業と日亜化学工業は2021年4月26日、電池やモーター、インバーターなどの電動車の部品で必要となる銅のレーザー溶接に関して、業務提携に合意したと発表した。
古河電気工業と日亜化学工業は2021年4月26日、電池やモーター、インバーターなどの電動車の部品で必要となる銅のレーザー溶接に関して、業務提携に合意したと発表した。
古河電工が持つ赤外半導体レーザーと銅加工の知見と、日亜化学が持つ青色半導体レーザーの技術を持ち寄り、ハイブリッドレーザーによる高品質な加工を実現する。両社は2017年からハイブリッドレーザーの加工技術を開発し、共同開発した青色レーザーダイオードモジュールを採用したハイブリッドレーザー発振器「BRACE-I」を製品化した。ハイブリッドレーザーは、青色レーザーが先行して加熱し溶融池を拡大、安定化するとともに、赤外レーザーによって深溶け込み加工を行う。
業務提携ではこれらの成果を基に2025年に売り上げ100億円を目指す。まずはハイブリッドレーザー発振器の高出力化に向けて、青色レーザーダイオードモジュールの高出力化と信頼性向上に取り組む。その一環で、2022年5月から古河電工が千葉で生産する青色レーザーダイオードモジュールを日亜化学の徳島の拠点に移管する。青色レーザーダイオードの素子やパッケージからモジュールまで1カ所に統合することで、高性能化と価格競争力を両立する。青色レーザーダイオードモジュールを生産する共同出資会社の設立も視野に入れている。
また、2021年6月には顧客がサンプルでテスト加工を行える「共同アプリケーションラボ」を開設する。リチウムイオン電池の銅箔集電タイヤバスバーの溶接加工などを提案し、レーザー加工の市場探索を推進する。
業務提携を通して、2022年度にBRACE-Iよりも高出力な「BRACE-II」「BRACE-X」を製品化する。青色の光出力を6.7倍、赤色の光出力を3倍に増やす。赤外レーザーは出力をアップするほど生産性向上に寄与するが、単体では加工が安定しにくい。加工品質に直結する青色レーザーを組み合わせることにより加工を安定させる。これにより、モーター巻線の加工時間は従来の同社製品から3分の1以下、電池箔の溶接枚数は2倍以上、銅バスパーの板厚は2倍以上に改善する。生産効率を高めるだけでなく電池の容量アップや設計自由度向上などにもつながる。
電池やモーター、インバーターの生産工程では、導体である銅の接合にさまざまな溶接が用いられている。生産時のCO2排出削減や工程の自動化などを目的に、出力が安定するファイバーレーザーや半導体レーザーを加工熱源としたレーザー溶接の導入が検討され始めている。銅に対して光吸収性がよい高出力な青色レーザーへのニーズが高まるとしている。
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