日立 サービス&プラットフォームビジネスユニット セキュリティ事業統括本部 セキュリティソリューション本部 部長の夏目学氏は「C-1と生体認証SDKは、COVID-19によるコロナ禍の中で高まってきた顧客の声を反映して開発したものだ」と述べる。
この声は主に3つに分けられる。1つ目は、コロナ禍で需要が拡大している「非接触」。2つ目は「大規模認証」で、全国展開する会員に対応する数百万人規模での生体認証活用のニーズになる。そして3つ目は「オフィス外での認証」である。急激なリモートワークの拡大に合わせて、新たに専用装置を配布することなく、従業員に負荷をかけることなく、セキュリティを確保したいという要求である。
C-1は、これらの声のうち「非接触」と「大規模認証」に対応した製品となる。主にB2B2C向けで、小売店、飲食店での決済、イベント会場、施設の入退管理、レジャー施設での会員管理、全国展開のスーパーやコンビニ、会員施設などでの利用を想定している。装置の読み取り面から約2cm離れた位置で、人差し指、中指、薬指の3本の指をかざすだけで数百万人規模の会員数の認証を行える。これまで提供してきた指静脈認証装置であるH-1は、指を読み取り面に接触させる必要があり、会員数も絞り込む必要があった。夏目氏は「H-1の他人受入率(本人ではないのに本人と認識してしまう確率)は100万回に1回だったが、C-1で指3本を使うことにより他人受入率を6250万回に1回まで向上することができた」と説明する。またC-1は、指静脈認証に加えて、QRコードの読み取りも可能で、指静脈認証を使わない利用者などにも対応できる。
生体認証SDKは「オフィス外での認証」に応えるための製品だ。ノートPCの内蔵カメラや外付けのWebカメラなどに対して、7〜8cmほど離れた距離で人差し指、中指、薬指、小指の4本の指をかざすことで指静脈認証を行える。C-1やH-1のような専用装置を用いずに汎用カメラで指静脈認証を可能にした点が最大の特徴だ。リモートワークにおけるパスワードレスログインだけでなく、電子署名などにも適用できる。現時点で対応するOSはWindowsだけだが「今後はニーズに合わせて他OSへの対応も検討していく」(夏目氏)としている。
C-1、生体認証SDK、生体認証統合基盤サービスの提供に合わせて、他社との協業も積極的に進めていく方針である。C-1については、POSレジ大手の東芝テックや、セキュリティゲート大手のクマヒラと協業を開始する。生体認証SDKでは、欧州などで社外パートナーとの実証を進めることで海外展開も図っていく方針だ。また、日立コンサルティングと連携して「生体認証を活用したDX推進コンサルティング」を提供し、ユースケースの紹介や導入効果のシミュレーション、PoC(概念実証)/導入計画策定を行って、顧客の利用用途にあった生体認証の業務活用や新たなビジネス創出を支援していくという。
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