古い機械や人手作業、データ化されていない情報をどうスマート化すべきか:いまさら聞けないスマートファクトリー(5)(4/4 ページ)
さらに矢面さんは質問があるようです。
古い機械と同じで、人手による作業もデータ化できなくて困っているんですけど、こちらはどういうことが考えられますか。
そうね。こちらもまだまだ現在進行形で変化しているところだけど、大枠では「トリガーとなるものを決める」と「映像や音声を活用する」などがポイントになってきそうね。
日立製作所の大みか事業所での「作業改善支援システム」の作業台。作業者の手元だけでなく周辺も撮影し、生産性や品質に影響があった時に何が起こっていたのかを見つけ出すことができる(クリックで紹介記事へ)
人手作業を完全に把握するために、モーションキャプチャーを使うような動きもあります。しかし、改善作業の中では必要かもしれませんが、人の動き全てを把握するということは現在の工場作業においては現実的ではありません。そのため多くの場合が、トリガーとなる作業や動きを決めて、その間の作業時間や内容を把握するというやり方を取っています。例えば、帳票をバーコードリーダーに読ませてから作業終了ボタンを押すまでの時間を「作業時間」と設定する場合であったり、作業開始の定位置についたタイミングを近接センサーで読み取り、そこを開始時間とし、そこから離れた時間までを作業時間としたりするパターンです。
高度なものでは、作業指示書をタブレット端末などで表示し、その指示書のページをめくる動作をトリガーとして、作業指示書の該当ページを見ている時間を作業時間と設定するようなパターンなども考えられます。重要なのは「目的とすること」に対して必要な時間や取りたい情報はどういうもので、そのトリガーをどう設定するかということになります。
このトリガーを抽出するものとして「映像」や「音声」が注目されています。先述したトリガーとして映像分析により特徴点を抽出して記録するというものです。1つ1つの作業にひも付けたセンサーを用意するより、映像情報や音声情報は周辺情報を一気に取得できるため、決まった特徴点が抽出できるのであれば、広い範囲の情報を活用できるという利点があります。
なるほど。よく分かりました。うちの工場でもやってみます!
さて今回は、「データ取得の難しさ」とその解決パターンについて解説してきました。次回も、製造現場において失敗するパターンや見過ごされがちなポイントについてさらに掘り下げたいと考えています。
≫連載「いまさら聞けないスマートファクトリー」の目次
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インダストリー4.0やスマートファクトリー化が注目されてから既に5年以上が経過しています。積極的な取り組みを進める製造業がさまざまな実績を残していっているのにかかわらず、取り組みの意欲がすっかり下がってしまった企業も多く存在し2極化が進んでいるように感じています。そこであらためてスマートファクトリーについての考え方を整理し、分かりやすく紹介する。
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製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説します。第28回となる今回は、スマート工場化において見えてきた正解例について前提となる話を少しだけまとめてみます。
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日本のモノづくりの現状を示す「2020年版ものづくり白書」が2020年5月に公開された。本連載では3回にわたって「2020年版ものづくり白書」の内容を掘り下げる。第2回では、“不確実性”の高まる世界で日本の製造業が取るべき方策について紹介する。
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- 自律するスマート工場実現に向け、IoTプラットフォーム連携が加速へ
製造業のIoT活用はスマート工場実現に向けた取り組みが活発化している。多くの企業が「見える化」には取り組むが、その先に進むために必要なIoT基盤などではさまざまなサービスが乱立しており、迷うケースも多い。ただ、これらのプラットフォームは今後、連携が進む見込みだ。
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