プログラミングレスの現場作業支援基盤を展開、DMG森精機が新会社設立:FAニュース
DMG森精機は米国Tulipが開発した、デジタル化により製造現場の生産性向上を支援する「TULIP」を国内展開する新会社「T Project」を2020年9月に設立し、本格展開を開始したことを発表した。
DMG森精機は2020年12月17日、米国Tulipが開発した、デジタル化により製造現場の生産性向上を支援する「TULIP(チューリップ)」を国内展開する新会社「T Project」を2020年9月に設立し、本格展開を開始したことを発表した。
Tulipは2014年創業のスタートアップ企業で、DMG森精機とは2019年に資本・業務提携を行っている。TULIPは製造現場の課題解決をデジタル化で支援する製造支援アプリケーション作成プラットフォームである。作業手順書や品質管理、機器モニタリングなど多様な機能を持つアプリケーションを、プログラミングレスで現場担当者自身が簡単に作成できることが特徴である。
TULIPで作成したデジタル作業手順書のイメージ(クリックで拡大)出典:DMG森精機
紙の作業手順書や品質チェックシートのデジタル化、生産データの見える化、工程改善などを簡単に行え、製品仕様や工程の変化にも柔軟に対応できる。さらに、製造現場では計測機器や既存システムなどとも連携可能だ。現場主体の工程改善やデジタル化に貢献するという。
指示灯やセンサーなどIoT機器との組み合わせが可能(クリックで拡大)出典:DMG森精機
TULIPは自由度が高いため、さまざまな業種で活用可能だ。例えば、医薬品製造業では医薬品製造の手順書や品質・トレーサビリティー管理システムとして使用し、食品加工業では複数言語や動画を活用した作業手順書として活用できる。販売価格は1ライセンスで年間36万円としている。バーコードリーダーやフットペダル、指示灯、センサーなどすぐに導入可能な基本セットの同時販売(別売り)なども行う。
基本セット(クリックで拡大)出典:DMG森精機
工作機械ユーザーに限らず活用できるため、既存のDMG森精機製品にとどまらない可能性があるため、新会社であるT Projectを設立し、独立した展開を進める方針である。T Projectの資本金は1000万円でDMG森精機の100%出資子会社となる。
T Projectのロゴ 出典:DMG森精機
≫「FAニュース」のバックナンバー
- 積層造形に手応えをつかむDMG森精機、2025年には500億円の売上高目指す
DMG森精機は「JIMTOF2018」において、金属積層造形モデルでパウダーノズル方式とパウダーベッド方式の2機種を紹介。航空機業界や金型修理などの領域で着実に成長を重ねており「2025年には500億円の売上高を目指す」(DMG森精機 取締役社長 森雅彦氏)としている。
- カイゼンは罰ゲーム? IoTを活用した現場改善の進め方
i Smart Technologiesは2020年6月10日、「『カイゼンが楽しく』〜罰ゲームではなくなったホントの話」をテーマにオンラインセミナーを開催。i Smart Technologies チーフコンサルタントの増田春輝氏が登壇し、IoT(モノのインターネット)を使った旭鉄工での現場改善の取り組みとそのポイントについて紹介した。
- スマートファクトリー化がなぜこれほど難しいのか、その整理の第一歩
インダストリー4.0やスマートファクトリー化が注目されてから既に5年以上が経過しています。積極的な取り組みを進める製造業がさまざまな実績を残していっているのにかかわらず、取り組みの意欲がすっかり下がってしまった企業も多く存在し2極化が進んでいるように感じています。そこであらためてスマートファクトリーについての考え方を整理し、分かりやすく紹介する。
- エッジは強く上位は緩く結ぶ、“真につながる”スマート工場への道筋が明確に
IoTやAIを活用したスマートファクトリー化への取り組みは広がりを見せている。ただ、スマート工場化の最初の一歩である「見える化」や、製造ラインの部分的な効率化に貢献する「部分最適」にとどまっており、「自律的に最適化した工場」などの実現はまだまだ遠い状況である。特にその前提となる「工場全体のつながる化」へのハードルは高く「道筋が見えない」と懸念する声も多い。そうした中で、2020年はようやく方向性が見えてきそうだ。キーワードは「下は強く、上は緩く結ぶ」である。
- 工場自動化のホワイトスペースを狙え、主戦場は「搬送」と「検査」か
労働力不足が加速する中、人手がかかる作業を低減し省力化を目的とした「自動化」への関心が高まっている。製造現場では以前から「自動化」が進んでいるが、2019年は従来の空白地域の自動化が大きく加速する見込みだ。具体的には「搬送」と「検査」の自動化が広がる。
- 見えてきたスマート工場化の正解例、少しだけ(そもそも編)
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説します。第28回となる今回は、スマート工場化において見えてきた正解例について前提となる話を少しだけまとめてみます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.