ルネサスエレクトロニクスは2020年10月28日、メディアやアナリスト向けにオンラインで車載事業の説明会を開催した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が自動車市場に与える影響や、成長が見込まれる分野での戦略を解説した。
ルネサスエレクトロニクスは2020年10月28日、メディアやアナリスト向けにオンラインで車載事業の説明会を開催した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が自動車市場に与える影響や、成長が見込まれる分野での戦略を解説した。
COVID-19の拡大は自動車の生産や販売に大きな影響を及ぼした。国や地域によっては大規模な感染拡大が続き、先行きが読みにくい状況は変わっていない。ルネサスエレクトロニクス 執行役員兼オートモーティブソリューション事業本部 副事業本部長の真岡朋光氏は、今後の自動車市場に対するCOVID-19の影響の予測を示した。2019年の欧米中の販売台数を基準にしたときに、良い見通しでは2022年に2019年並みに回復し、2025年には2019年比10%増のプラス、厳しいストーリーでは2025年でも2019年の台数に届かない予想だ。
新車販売台数の回復の行方は車載半導体市場にも影響する。COVID-19前後で分野ごとの成長予測を比較すると、電気自動車(EV)をはじめとする電動化分野は環境規制の強化などを反映して3%増だが、自動運転やADAS(先進運転支援システム)は1%減、コネクテッド関連は大きく減速して当初の見通しより26%減を見込むなど、“コロナ前”の見通しを修正せざるを得ないという。とはいえ、半導体需要としては、2019年から2025年にかけて年率8%の成長が予想されている。
COVID-19によるトレンドの変化も起きている。これまではコネクテッド、自動化、シェアリング/サービス、電動化の頭文字をとって「CASE」と呼ばれてきたが、不特定多数が利用するシェアリングやサービス、公共交通が敬遠される傾向が強まった。代わりにニーズが高まっているのが「パーソナルモビリティサービス」であり、自動車だけでなくeバイクや自動配達ロボットなども含まれる。パーソナルモビリティサービスは、コネクテッドと電動化、自動化が併せて進化することで実現するとしている。
こうした環境においてルネサスは「デジタル」「アナログ&パワー」の2つの製品軸と、自動車メーカーやティア1サプライヤーの開発方針に合わせた効率化に貢献するソリューションの提供によって、競争力を高める。
開発効率化において重視するのは「Easy to Start」だ。標準のハードウェアやソフトウェア、開発ツール、ドキュメントで構成したスケーラブルな標準製品(Easy to Use)、エコシステムやエンジニアのコミュニティー、コンテンツやレファレンスキットなど付帯サービス(Easy to Develop)、情報へのアクセスしやすさや教育プログラムの提供(Easy to Access)を柱とする。
ルネサスが車載用で長い実績を持つSoC(System on Chip)やマイコンにおいて価値として打ち出していくのは、ソフトウェアの再利用性や、セキュリティやAI(人工知能)など技術トレンドのサポート、高性能化するECU(電子制御ユニット)の単位電力あたりのパフォーマンスの高さだ。
SoCの「R-Car」とマイコンの「RH850」でソフトウェア再利用性を高めることは、自動車メーカーがソフトウェア重視の開発プロセスに移行している傾向にも合致する。
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