あらゆる搬送シーンに対応するAGV、SLAMなど3つの走行方式を併用で物流のスマート化(1/2 ページ)

ZMPは2020年8月19日、AGVの走行方式であるライントレース、SLAM、ランドマーク(シール)読み取りの3つ方式の特徴を兼ね備える走行方式「Hybrid SLAM」を開発したと発表した。狭い通路や停止精度が要求される場所など、搬送シーンに応じて走行方式を柔軟に切り替えられる点が強みだ。

» 2020年08月24日 14時00分 公開
[池谷翼MONOist]

 ZMPは2020年8月19日、年次イベント「ZMP World 2020」(同年8月18〜20日)で、AGV(自動搬送車)の走行方式であるライントレース式、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)式、ランドマーク(シール)読み取り式の3つの特徴を兼ね備える走行方式「Hybrid SLAM」を新開発したと発表した。狭い通路や停止精度が要求される場所など、搬送シーンに応じて走行方式を柔軟に切り替えられる。ライントレース機能の市場投入は2020年12月から、SLAM機能は2021年3月からを予定する。

 開発技術は主に台車型自律搬送ロボット「CarriRo(キャリロ) AD+」(台車/パレット積載タイプ)のオプション機能としての活用を想定する。料金はリース(5年)の場合、1台当たり1万2000円(税別)、買い取りの場合は60万円(同)がCarriRo AD+本体の料金に上乗せされる。

「Hybrid SLAM」を搭載したCarriRo AD+による走行デモの様子[クリックして拡大] 「Hybrid SLAM」を搭載したCarriRo AD+による走行デモの様子[クリックして拡大]

搬送シーンに応じた走行方式が選択可能に

 Hybrid SLAMを搭載したAGVは、床面のランドマークの配置に沿って走行する「ライントレース機能」、AGVに搭載したLiDAR(Light Detection and Ranging)を用いる「SLAM機能」、ランドマークの指示通りに走行する「ランドマーク機能」の3種類を切り替えつつ走行する。切り替えのタイミングはランドマークで指示を出す。これにより、3つの走行方式を駆使してあらゆる搬送シーンに対応できる点が強みだ。

 SLAM機能はZMPが展開する宅配ロボット「DeliRo(デリロ)」に搭載したSLAM技術をベースに開発した。また、ランドマーク機能にはZMPが開発したシール式の走行システム「CarriRo Visual Tracking」を用いた。

ライントレース、SLAM、ランドマークの3つの走行方式を組み合わせる[クリックして拡大]出典:ZMP ライントレース、SLAM、ランドマークの3つの走行方式を組み合わせる[クリックして拡大]出典:ZMP
ZMPの笠置泰孝氏 ZMPの笠置泰孝氏

 Hybrid SLAMの活用イメージについて、ZMP CarriRo事業部長の笠置泰孝氏は「例えば、幅1m程度の細い通路やアスファルト路面などの場所ではSLAMを、部品供給のための自動移載などで正確な位置決めが求められる場所ではライントレースを使う。そして、長距離搬送が必要な場所にはランドマークを設置して指示を出す、といった具合に各走行方式を切り替えながら運用すれば、工場内での柔軟な自律走行が実現できる」と説明する。

Hybrid SLAMのライントレース機能(左)とSLAM機能(右)[クリックして拡大]出典:ZMP
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