2019年3月に発表されたファクトリーエージェントだが、現在までの1年半で一部顧客に向けてテストサービスを積み重ねてきた。これまでに、受注工場として約3000社のパートナーを登録しているものの、テストサービスでアクティブに受注を受けてきた受注工場は100社ほどになる。
今回のファクトリーエージェントの本格始動に併せて、金属加工で長年の経験やノウハウを持ち、独自の活動で全国各地に数多くの町工場とネットワークを持つ浜野製作所と業務提携することとなった。
浜野製作所 代表取締役の浜野慶一氏は「国内の中小製造業は減少が続いており、厳しい状況にある。当社は、新しい町工場の在り方に向けてさまざまな活動を展開するとともに、2010年ごろから全国の町工場との間で『Monozukulink.net』というネットワークを構築してきた」と語る。
そして、ファクトリーエージェントについては「既存のマッチングサービスと比べて大きな違いが2つある。1つは、長年にわたって世界の最前線でモノづくりをしてきたジェイテクトの存在と、そのジェイテクトから社会課題を解決したいという熱い思いを持ってファクトリーエージェントが起業された点だ。もう1つは、このサービスの受け手である町工場がこの取り組みに入っており、製造現場の目利き力が基盤になっている点である」(浜野氏)と評価しており、浜野製作所が目指す方向性と一致することから業務提携に至ったという。
会見では、2020年6月にジェイテクトの新社長に就任した佐藤和弘氏も登壇した。佐藤氏は「ファクトリーエージェントは、先代社長の安形(哲夫氏)が若手からの意見を受けて発足させたサービスだ。私自身も2020年1月からジェイテクトの顧問として推移を見てきたが、その志には感銘を受けている。ジェイテクトのような製造業が目指す“良品廉価”に対して、発注者と受注工場をつなぐファクトリーエージェントは、良い縁を取り持ってお手頃な価格でサービスを提供する“良縁廉価”がビジネスモデルになるだろう」と述べる。
また、ファクトリーエージェントを手掛ける事業体は2020年4月に「株式会社ジェイテクトFA」として分離独立しているが、今回の本格始動に合わせて同年7月に株式会社ファクトリーエージェントに社名変更している。これは、「“FA”というとファクトリーオートメーションの印象が強い。それよりもサービスの名前であるファクトリーエージェントを社名にすべきではないかと提案した。また、新事業を始める上で“ジェイテクト”に縛られるべきではないとも考えた。ジェイテクトという名前は社名に入らないが、裏方に徹してファクトリーエージェントをいろんな面でサポートしていく」(佐藤氏)としている。
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