アウディは2020年5月29日(現地時間)、電気自動車(EV)向けの新技術や高度な自動運転技術を採用する新型車開発にアジャイル開発を取り入れるプロジェクト「Artemis(アルテミス)」を始めると発表した。
アウディは2020年5月29日(現地時間)、電気自動車(EV)向けの新技術や高度な自動運転技術を採用する新型車開発にアジャイル開発を取り入れるプロジェクト「Artemis(アルテミス)」を始めると発表した。フォルクスワーゲン(VW)グループのリソースや技術を組織にしばられずに自由に活用し、まずは2024年に導入予定のEVを開発する。プロジェクトはCEO直轄となる。
VWグループでは2029年までに電動車75モデルを導入する計画だ。その中で、既存のプロジェクトの管理や進行を妨げずに新技術のベンチマークを追加し、市場における新しいチャンスを活用することが課題になっているという。アルテミスプロジェクトによる新しい開発プロセスの成果はVWグループの各ブランドの開発部門に展開し、新型車開発に活用する。
アルテミスプロジェクトには、大きな裁量が与えられる。プロジェクトはVWグループの開発拠点をグローバルに活用することが可能で、ドイツ・インゴルシュタットにある最新技術の研究拠点「INCampus」や、米国西海岸の研究開発センター、車載ソフトウェア開発部門の「car.Software」が技術を提供する。車両だけでなく、クルマを取り巻く広範なエコシステムの開発や、車両の利用フェーズ全体に向けた新しいビジネスモデルも設計する。
アルテミスプロジェクトは、2020年4月にアウディのCEOに就任したマルクス・ドゥスマン氏が立ち上げた。プロジェクトの責任者はアレックス・ヒッツィンガー氏だ。同氏はこれまで、VW商用車部門の技術開発担当の取締役や、VWグループの自動運転担当の上席副社長、VWグループの研究開発責任者などを務めてきた。
ヒッツィンガー氏はモータースポーツでのキャリアも長い。トヨタモータースポーツ、フォード・コスワースのF1向けチーフ開発エンジニア、ポルシェのモータースポーツチームを経て、アップル(Apple)で自動運転車開発プロジェクトを立ち上げた。その後、2019年にVWグループに戻った。ドゥスマン氏は「レーシングチームの開発のようなアジャイルさをアルテミスプロジェクトでも発揮することを期待している」とコメントしている。
アジャイル開発は、ソフトウェア開発で広く導入されている開発手法だ。アジャイル開発では短い期間で開発を反復しながら機能を追加していくので、ウオーターフォール開発が苦手とする細かな仕様変更や機能追加などに対応しやすいという利点がある。
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