中期経営計画の重要指標になっているLumada事業の売上高については、2020年度から定義を改める。2019年度までの内訳は、Lumadaコア事業とLumadaSI事業に分かれていたが、2020年度からの内訳はLumadaコア事業とLumada関連事業に変更される。この新定義に合わせた場合、Lumada事業の売上高は2019年度決算で発表された1兆2210億円から1兆370億円に減少することになる。
新定義では、Lumadaコア事業として、これまで顧客企業との協創で1000件以上積み上げてきたユースケースを中心としたデジタルソリューションが割り当てられる。一方、Lumada関連事業には、デジタルソリューションと連携するシステムやプロダクトの売り上げが割り当てられる。この定義に基づく2019年度のLumada事業の売上高は、Lumadaコア事業が3800億円から5930億円に増加し、Lumada関連事業に4440億円が計上される。
そして2020年度以降のLumada事業の売上高目標(COVID-19の影響を除く)は、2020年度に前年度比12%増の1兆1600億円、2021年度に同21%増の1兆4000億円を設定した。中期経営計画におけるLumada事業の売上高目標は1兆6000億円なので「現状の目標からもう1段伸ばすために、M&Aなどを検討する可能性がある」(河村氏)という。
また、東原氏はこの新定義について「Lumada事業を伸ばしていくには『Scale of Digital』と『Scale by Digital』の2つの軸がある。従来は、ITセクターを中心にScale of Digitalで増やす方向性になっていた。今回の新定義は、Scale by DigitalによってOT(制御技術)やプロダクトと連携して伸ばすことを意識した内容になっている。LumadaとOT、プロダクトの関わりを明確にするためのものだ」と説明する。
実際にこれまでのLumada事業の売上高は、各セクターや上場子会社とどのように関わっているかは判然としてなかった。今回の新定義では、2019年度のLumada事業における各セクターの売上高も示しており、ITセクターにとどまらず日立グループ全社でLumada事業にコミットしていくための業績基準が出されたことになる。
東原氏は、中期経営計画進捗状況を説明する中で、従業員30万人という日立グループの働き方改革についても言及した。「COVID-19の影響もあり、在宅勤務の活用を標準とする働き方の導入を進めていく。また、これまでトップダウンでの構造改革を進めてきたが、現場側としては“やらされ感”が強かったかもしれない。ボトムアップを強化する意味合いを含めて、“働きがい”を持ってもらえるようにしなければならない。この働きがいについては非財務指標として設定していくことになるだろう」と述べる。
また、社会価値や環境価値を創出する取り組みを進めるため、2030年度の自社生産におけるカーボンニュートラルの達成を宣言した。2020年度を起点として、製品設計の見直し、プロセス見直し、製造設備の省エネルギー化、再エネ設備や再エネの使用といった取り組みで目標達成を目指すとしている。
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