「Part1」が対象としている範囲は、工場ネットワーク内で求められる産業用ロボットインタフェースの一部でしかなく、図2のOTネットワーク以下はまだ対象外である。しかし、このOTネットワーク以下の統合こそ、生産システムの挙動を制御し、モノづくりの価値を生み出すために特に重要であり、最もエンジニアリングコストを要する領域でもある。そこで以下では、「Part1」に含まれないインタフェースの例を、産業用ロボットコントローラーが有する機能と合わせて簡単に紹介する。
ここで述べたいのは、一口にロボットコントローラーと言っても多様な機能が詰め込まれており、そのインタフェースにも多くの形態があるため、共通化は容易ではない、ということである。
まず産業用ロボットの工場ネットワーク内での位置付けについておさらいしておく。図2のようにロボットや機械装置が直接、相互接続される場合もあるが、図1のようにPLCや産業用PCが上位制御系として複数のロボットや機械装置を統合制御することも多い。また、ロボットコントローラー配下にロボットハンドや外部軸、各種IO機器などが接続される場合もある。
そこで、ロボットのインタフェースを図3のように上位/機器間インタフェースと下位インタフェースとに分けて記述するのは自然であろう。図3は、黒枠で囲ったロボットコントローラーの中に、ロボット制御に関するソフトウェア機能要素を色分けして並べ、外部インタフェースを示す矢印を追加したものである。図3の下方に記載した要素ほど制御対象であるロボットや周辺機器に近く、厳密なリアルタイム性を必要とする。
図3中の各機能要素の概要は以下の通りである。
ロボットコントローラーの上位/機器間インタフェースとして考えられるのは、主に以下の3種類である。
また、下位インタフェースとして考えられるのは、主に以下の3種類である。
「OPC UA for Robotics Part 1」は、これらのインタフェースのほぼ全てをカバーできていない。「Part 1」が提供するインタフェースだけでは、上位コントローラーからロボットを制御することはできない。また、「Part1」で見ることができるロボットの状態は、ロボットコントローラーが処理している膨大なデータの表層部分でしかない。
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