ブラックベリーは、自動車や産業機器などのセーフティクリティカルが求められるシステムにおける安全なデータ通信を保証するソフトウェアソリューション「QNX Black Channel Communications Technology(QBCCT)」の販売を開始した。
ブラックベリー(BlackBerry)は2020年4月、自動車や産業機器などのセーフティクリティカルが求められるシステムにおける安全なデータ通信を保証するソフトウェアソリューション「QNX Black Channel Communications Technology(QBCCT)」の販売を開始した。ADAS(先進運転支援システム)や自動運転システムなどに適用が進みつつあるAUTOSAR Adaptive Platform(以下、AUOTOSAR AP)のECU(電子制御ユニット)間の通信セキュリティリスク軽減要求に対応するとともに、自動車向け機能安全規格ISO 26262の安全要求レベルで最も厳しいASIL Dに準拠したソフトウェアとなっている。
CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)をはじめとする自動車の新技術開発が進む一方で、高級車で100台以上搭載するともいわれるECUの統合化も進んでいる。従来は個々のECUをCANでつなげて連携するのが一般的だったが、近年ではカーナビゲーションやデジタルクラスタを一体化した統合コックピット全体を制御するドメインコントローラーなどが登場している。ブラックベリー ビジネスデベロップメントマネージャでQNX車載ソリューションの日本国内販売推進を担当する中鉢善樹氏は「今後の5年間で、ドメインコントローラーを中核としたECUの統合化が進んでいくだろう」と述べる。
ドメインコントローラーを用いたECUの統合化では、より高度なプロセッサと車載ソフトウェアが用いられるようになる。車載ソフトウェアの国際標準であるAUTOSARでも、マイコンとリアルタイムOSを用いた現行のECU向け車載ソフトウェアをAUTOSAR Classic Platform(以下、AUTOSAR CP)と再定義する一方で、MPUやPOSIX準拠OSなどを用いるECUの統合化に対応した車載ソフトウェアをAUTOSAR APとして策定作業を進めているところだ。「ブラックベリーの組み込みOS『QNX』もPOSIX準拠であり、最近ではシャシー制御やバッテリー管理などの用途にも採用が広がっている」(中鉢氏)という。
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